クワタとは学生時代に大話をした記憶はない。彼といろんな話をするようになったのはここ数年のことだ。随分前になるが、彼が前橋に住んでいた頃、一度遊びに行った。豚カツを食って浅間山を見たと思う。帰りは私の住い(寮)まで車で送ってくれた。『上がってお茶でも飲んでいけよ』との誘いも軽く断り、さっそうと消え去るあたりなど、彼らしいというか、彼にしかできない芸当だ(笑)。地元に帰ってきてから、何度か彼と飯を食った(話らしい話もせず)。焼酎を飲むようになったのもクワタの影響だろう。りょう山(米)と百年の孤独(麦)の贈り物に感激したのは記憶に新しい。自分の納得のいくモノしか友に送ってはならぬということを教えてもらい、非常に感謝している。
先週の土曜の晩はかなり激しい雨が降った。クワタと雨に濡れながら、築地から有楽町まで歩いた。焼トン屋は繁盛しており、座るスペースもなく、店を変えた。呼び込みの親父の手招きで入ったのが『まつ惣』。店の中ではカンテキで炭を燃やしていた。おかげで寒さを感じずに済んだ。頼むのは勿論チューハイ。どうでもええような安い(工業用アルコールに近い)焼酎をソーダで割ったものを指す。これは2杯も飲むと酔いがまわる。焼トンの脂を洗い流す効果も大きい。一人2000円もあれば満足できるだろう。残念ながら私が住む街にこういう店はない。
地元へ帰って来て、寿司を食べることは少なくなった。理由は簡単だ、旨くもないものに銭を払うのは馬鹿らしい。寿司とはネタとしゃりのバランスである。どちらかが個性を発揮し過ぎるともう×である。残念ながら、西日本のしゃりは甘過ぎる。大阪の上六の『H寿司』はそうではない、ゴールデンウィークに食った鯛の握りは見事であった。関東の友人が鯛とはこんなに旨いのかと感動を露にしていたくらいだ。上京した折には築地の『S美』に必ず立ち寄る。ここの寿司は芸術の域に達している。土曜に食った赤身とコハダは私が唸るほどであった。人間も寿司もバランスだね。クワタが羨ましい、毎週行けるなんて~。
雨の中、中華街のH珍楼へ向かう4人。シェフにおまかせコースを約2時間半かけて堪能しました。旨味調味料使用せずという謳い文句はほんまでした。素材の味を前面に出していたと思います。青菜へ蟹の味噌と肉を餡かけにしていた料理が白眉でした。紹興酒10年モノと料理の相性は一番でしょう。