タケガワの280ccキットの物。そう、モンキー系EGパーツなんかで有名なタケガワ。
鍛造ベースはワイセコで、加工はタケガワで行っている。
XR250をボアアップする場合、一般的には純正流用(俗に言うRFピストン)か、純正流用ピストン(RFとは限らない)を加工したと思われるショップオリジナルキット系、鍛造ではアリエス、ワイセコ、JEあたりが候補になる。
今回タケガワをチョイスした理由は、
●圧縮比が高い(11.0)。
●ワイセコなので、Al-Si合金系。
●ピストンリング等の入手が楽。
●個人的にタケガワが好きである(趣味人が始めた商売がそのまま大きくなったスタイル)。
●「邪道」という我がXRのコンセプトに合っている・・・といった所。
調べてみたところ、本家ワイセコよりもタケガワの方がランドの盛り上がり部分が面積的にも大きく、高い。また、バルブリセスが深い。※全て写真判定(苦)なので参考までに。リセスの深さも、ピストントップが盛り上がっている分深いという訳でも無い様で、タケガワは敢えて深く彫ってある感じ?
既にクランクケースは合わせてあるので、ピストンを組みつける位は簡単なのだが、いままで放置してきたのは幾つかの理由があった。
その一つに、「ピストンの重量を量りたい」というのがある。
が!俺は秤を持ってないのだ。
このXRのフライホイールを旋盤で削った際に、削る前後の重量を量ろうと「デジタル体重計」を使ったのだが、何と削った後で200g単位でしか表示しない事が発覚。最初に気付かないのもどうかしてるが・・・。体重計で量った結果は鉄の比重で計算した数字とかなり食い違っており、どれくらい削れたのかは現在は分かってない(多分2割弱)。で、秤が欲しいのだが、フライホイールは2kg前後。2kg以上を正確に量れる秤は高い! で、秤を買うのを躊躇していたのであります。
実際には量ったところでパワーが出るわけでも速くなるわけでもなく、単なる興味本位なので…。
結局2kg以下しか量れないヤツ(TANITAの料理用、¥2500位)を買ってきた。
真っ先に量ったのは、何故かバルブ(爆)。IN2個とEX2個がそれぞれ極力条件を近くした方がバランスが良いので、重量を確認したかった。バルブ自体軽いので、本当は天秤で比べるのが普通なのだが、事前に「同じ数字を示したらOKとしよう」と決めてから量った。IN、EX共OKであった。
次、ピストン。
残念ながらMD30のノーマルピストンは持ってない。スペアエンジンのピストンは、焼き付いて完全に砕け散っていたのだ。
だが、何故かXLR(MD22)のノーマルピストンは持っている。こちらは232g(リング込)。
対してタケガワの77ミリのピストンは・・・247g。思っていたよりも随分軽い(ピストンを入手して箱から出した瞬間に軽いと感じたが、XLRの物と手で持って比べると、明らかにタケガワの方が重かった)。確かにこのピストンはソツの無い肉抜きが為されており、見るからに軽そう。なのでコレ以上ダイエットさせるのは難しいと思われる。
それと一つ落とし穴がある。タケガワのピストンピンは長さが62ミリ(中身はテーパー穴)、MD22は60ミリ。MD22のピストンピンまではさすがに持っておらず、形状までは判らない。
さらにMD30のピストンはピンボス周りがガバッと窪んだ形状であるので、ピストン本体は軽いだろうし、ピストンピンもコレより短くて軽い筈である。なのでノーマルMD30比ではタケガワピストンはかなりの重量増加になると思われる。
それと本当は鍛造ピストンを使うのはイヤだったのだが、色々あって、極力高圧縮に組む為に今回の選択となった。ワイセコは熱膨張率が比較的低い4000番系のAl-Si合金の為にピストンクリアランスを小さくできる。だが逆にシリコンとの合金なので放熱性が低いという欠点もある。実際、F1でお馴染みのマーレーとかコスワースは別の合金を使用。Al-Si合金は、本来の鍛造のメリットはあまり持ってないのである。かといって、我々一般ユーザーが鍛造ピストンを使わなければならないほどの理由も無い。っつーよりも、ネガの方が多いと思っている。
社外チューニング用ピストンの殆どが鍛造なのは、トータルで見たときに製作コストが低い(製造・販売個数、或いは売値と比較して)のが理由なのではと推測している。もしもボアサイズや圧縮等の条件の適う鋳造ピストンがあるのならば、本来はそちらをチョイスするべきだ(参考:ピストン選択した時の過去記事)。
一応、このエンジンはチューニングエンジン(笑)なので、チューナー(爆)である俺の考えを反映した物でなければならない。ピストンキットをそのまま組むのはあくまで「キット組み付け」であってチューニングでは無い。そんなのはバイク用品店のピットサービスにでも任せておけば宜しい。
で、少しでも軽く、と削れそうな所をリューターで削り、ペーパーでピストン内側のフライス目を消し、最後にブラスト。最初からスカートはフライスで肉抜きしてあるし、ピンボス付近は形状的にあまり削れない。T型ピストンみたいに、というかME06やME08の様にピンボスの下のスカートを削り取ってしまおうかとも思ったが、何れにせよ大して重量は減りそうに無いのでヤメ。それでも2gという大幅な軽量化(苦)を施して245g。ピストンピンとピンクリップ含めて303g。もしもMD30のピストン周り1式の重量をご存知の方いらっしゃいましたら、是非お教え下さいませ。
ピストントップは圧縮比を考慮してペーパーで磨るのは最小限に留めたが、S/V比を向上する為に鏡面に仕上げた。