ナラガレに雑木紅葉も色少な
ナラガレに粧おいもせず山黙す
松食いは終わり松無し山紫なし
刈らぬ萩伸びるにまかせ花の滝
刈り出しに行く途中の林内に山百合があった事を思い出して入ってみた。それで、やっと採集することが出来た山百合の種子である。「諦めない」のが良かったか…。
今年、フイールド内では何年振りかに花を見たのだが、時を経ずして球根から抜き取られて株ごと失ってしまったから、繁殖用の種子の採集は無理だと思っていた。
近くには種子がついていない株が一本あったから、両方あわせて繁殖用の保育地に移植するつもりである。野草は野に生きてこそ価値があると思うのだけれど、野に置くと殆どが盗掘で失われてきたのが実体験だ。ササユリも今年は花を見たのだが、既に株は消えている。
播種して、どれだけ発芽・成長・開花するかは未知の領域だけど、絶滅させないためには理想など言っておれなくなってきた。竹林内に多く見られたコクランなど、蘭科の植物は、地味な姿ゆえに盗掘こそ免れているが、筍の「探り掘り」で地表ごと鍬で削り取られてしまうものだから、その数を大きく減らしてしまった。もうすぐ被害を受けるシーズンが始まる。
さて、山百合の種子からの繁殖は、いま播種して発芽は一年半後、開花は5年後以降だ。年齢を数えるとしばし沈黙せざるを得ない…。