今、除竹している地表はアリドウシが密生して「痛い・危ない」こと甚だしい。樹高は高いので膝程度なのだが、テーブル状に何段も枝を広げて針を密生させている。立ち入るだけでデニムの生地を通して脚を突いてくるし、刈り取ろうと幹を握っても高さが様々だから皮手袋さえ突き抜けて手に刺さってくるのだ。
鎌で刈り払うだけでは地表面に残るから次の作業の支障になり、どうしても作業範囲から排斥しておかないと具合が悪い。手袋を通して刺さった針は、手袋の上から抜き取れるのもあるけれど、容易に折れて皮膚に残ったままになる事も多い。刈り取り中は何回かは手袋を脱いで「刺抜き」をしなければならない。
皮膚の中に残った先端は、毛抜きでも掴めないから縫い針で穿り出す事になるのだが、これがまた難儀である。ともかく細い、微少なのだ。写真右のトゲでも指紋の間に3本は入る。皮膚内に残ったのは、これより小さいのが多いから裸眼では確認できにくい。10倍のルーペを使用して穿るのである。指でなぞれば触知できてもルーペで見つけられない部分もある。
ルーペの中の世界は、例えて言うと「箸の先で胡麻を掘り出す」感じだ。それでも取りきれないのもあって、これは皮膚の再生サイクルの中で表面に排出されるのを待つだけだ。小父さんのシラウオのような手が台無しである。