
頼まれて春先に蒸留水や発酵シロップ作りを行った郊外のプレハブまで出かけた。レモングラスとヒノキ生葉で芳香蒸留水の実演なのだが、水道が小屋内に無い外付けなので外で蒸留するつもりだったのだが風防を忘れてしまった。これでは焔が揺らぎ加熱効率が下がる。結局は室内で蒸留し冷却水の導入と排水は窓を開けて行った。窓の外では排水がビチャビチャと煩いし駐車場まで流れ出して漏水に見える有様だ。
一度仕掛ければ、後は蒸留水が溜まるのを待つだけで人の手も人の目もあるから場所を離れても大丈夫。息抜きに外に出たところでアサギマダラの初見となった。終了後に散策しながら撮影機会を狙ったのだったが不発。そうそううまくはいかないのが我が人生だ。
それはともかく、一体の雨水を集める調整池が直下の谷底にあった。砂防ダムらしき堰堤は高くてアルミ製の伸縮梯子が掛かっていた。遠望なのだが5~6メートルはありそうだった。
斜面はクズで覆われた急傾斜で登り下りは恐らく不可能だ。若い頃、渓流釣りで「下れる」と思った草の斜面は下り始めると身を没する深さで逃げ帰った事があった。その時よりクズのジャングルは深い。堰堤の外側には集落が近かったので、そちらから接近進入しているのだろうが梯子があっても調整池内の管理はされていない。
しかしながら雨水だけの調整池と言っても水面は広いし深さもあるように見える。水域に侵出し始めた木本を排除すれば開放面が現れるはずで、そうすれば冬鳥の休息地にもなるだろう。この場所より北側の集落近くには少し大きい溜池があって「渡り鳥のお宿」なんて立て看板もあった。ここなら水面面積は小さくともトンボやカエル、はてまたクチボソなどの在来種のリザーブに適いそうに思える。まあ、小生が手を出す余裕はないけれど、何とも魅力的で、ほっといては宝の捨て腐りだろうなあ。
レッドデータ云々するより、こんな場所でも具体的に手を入れた方が絶滅緩和には役立つと思えるのだが、一方では我がフイールドもそうだけれど、ウシガエルを放したりオオカナダモを投げ込んだりする輩も絶えないから、まあ、こういう輩は猪鹿猿と同じ絶滅渇望種で未来永劫絶滅しない。