先日、多量に購入した台湾映画DVDの中から、「一八九五乙未」(2008)を見る。「一八九五」というのは、日清戦争の結果、台湾が清朝から日本に割譲された西暦1895年を指す。「乙未」(きのとひつじ、いつび)は、干支の一つで、干支の組み合わせの32番目
で、同じく1895年を意味する。
日本軍の台湾接収に対して、さまざまな抗日運動が起きる。その多くは、日本軍による弾圧という悲劇的な最後をとげるのだが、日本軍および日本人を単純な敵役として描かず、むしろ内面の苦悩を描き出しているところが素晴らしい。この映画が「反日」か「親日」かなどというのは、極めて皮相的な見方で、「海角七号」と同様に、歴史に翻弄された台湾人の心情を読みとるべき映画だろう。
主演女優のシェリル・ヤン(楊謹華)は、愁いに満ちた美女。
こういう映画が作られる台湾は、やはり大陸とは全く違うのだと改めて思う。
【ブログ】ザ・ホスピタルより
日本軍が台湾を接収した1895年当時を描いた作品で、抗日戦争を繰り広げる台湾人(主に客家人)と日本軍の軍医だった森鴎外の視点でストーリーが展開していきます。抗日とは言っても鴎外や日本軍指揮官らの苦悩する心境がしっかりと表現され、日本人俳優が多数出演していることも活かされていますので、台湾と日本の双方の思いや歴史を知ることができます。そして当時の客家人の文化や風習が鮮やかに伝わり、大変勉強になる作品だと痛感しました。 「ザ・ホスピタル」では時代の最先端を走るテレビレポーターを演じたシェリルでしたが、本作では古風なヒロインを好演。戦う夫を支えながら家庭を守る女性で、抑えた演技ながらも芯の強さを感じさせる表情が印象的でした。シェリルにとっては挑戦的な役だったでしょうが、演技の幅が広がったのではないかと思います。 そしてアンアンは、シェリル演じるヒロインの使用人でしたが、ある出来事をきっかけに盗賊団に身を置いてしまうことに。過去を断ち切り、ボスに忠誠心を捧げる悲しい女性を演じています。 台湾で大ヒット中の本作は“今年一番の感動映画”というキャッチフレーズ通り、リアルな歴史を感じる感動作でした。日本では、2009年に開催される映画祭での上映を計画中とのこと。機会がありましたら、ぜひ見ていただきたいです。
「一八九五」公式サイト(中国語):http://www.1895.com.tw