昨年度から科目聴講を始めた大学に新学期の授業を聴きに行く。
この写真は授業の配付資料。これは、ホー・チミンの「獄中日記」だが、すべてが漢文で書かれている。ベトナム語がローマ字表記になったのは、第二次世界大戦終了後だから、それ以前の文書はすべて漢文なのだ。
朝鮮語もモンゴル語もベトナム語も、現代語を学ぶ限りでは、純粋な外国語として学ばなければならないが、少し前の歴史を原典で知りたいと思ったら、すべて漢文に行き着いてしまう。現代ベトナム語がペラペラでも、もしベトナム史を学ぼうと思ったら、漢文を学ばなければならない。講師の説明によると、ベトナムの大学では史学科と文学科では漢文が必修だそうだ。これは、日本史、日本文学でも同じことが言えるだろう。
このように書くと、何か中国が偉い国だと言っているように思われそうだが、そうではない。1912年以前には「中国」などという国はなかったし、知識層が文書に用いた漢文と、庶民の日常会話は全く別物だった。
やはり歴史は面白い。