「終戦記念日」にちなんで、毎年、NHKは特集番組を放送する。今年は何をやるのかと思っていたら、そのひとつが「日本人になろうとした少年たち 台湾先住民“高砂族”の20世紀」(8月11日放送 NHK BSプレミアム)※だという。
※ http://www.nhk.or.jp/bs/t_culture/
NHKは「アジアの”一等国”」(2009.4.5放送)で、そのときの政治権力に追従する情けない姿を露呈した。この番組は「台湾総督府の何十万もの文書を読み解き歴史を明らかにする」という触れ込みだったが、精緻な分析作業が行われた形跡など全く見られない。こけおどしのナレーションとおどろおどろしい音楽。加えて、歴史学でも認知されていない「日台戦争」などという造語を散りばめた、センセーショナルな番組制作手法。結局、現在では金科玉条となった「市民」「人権」「平和」などのキーワードで、台湾の日本統治時代を裁き、蔑む内容だった。これで喜ぶのは民主党政権の一部政治家、「朝日」や岩波書店、それに連なる「進歩的文化人」と追従者達(教員等)、あるいは中共(中国共産党)関係者だけではないか。
8月11日に放送予定の「日本人になろうとした少年たち 台湾先住民“高砂族”の20世紀」(NHK BSプレミアム)は、「アジアの”一等国”」と同じく日本統治時代の台湾を採り上げ、日本敗戦後、台湾原住民が辿った歴史を描く。
まだ、放送はこれからなのであれこれ言うことはできないが、NHKのHPを見る限りでは、全く期待はできない。HP上では日本敗戦後、台湾原住民の中に「故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者」がいたとわざわざ書かれている。(下記参照)当時の政治史、政治状況を調べればすぐに分かることだが、こんな事例はほぼゼロに等しいほど希有なはずだ。それをわざわざ番組紹介に入れるとは、中国共産党こそが「中国」の解放者であるという中共史観を受け入れている証拠ではないのか。いつからNHKは、中共(中国共産党)の手先になったのか。
団塊の世代あたりまでは、親の世代から戦争体験を引き継いできたが、今や世代は変わり、マスメディアの番組制作手法も極めて観念的になってきた。昨年、テレビ朝日は日本軍からの脱走兵を美化した「”神”の医師 101歳日本人医師の戦後」を放送した。山崎某という脱走兵にまつわる”美談”だった。しかしこれは、戦争体験者から見ればすぐにおかしいと気づく内容だったのに、若い視聴者には「神様のような人」「中国に謝罪した素晴らしい人」と映ったらしい。こういう番組が続くと、歴史を見る眼はますます曇らされ、真実から遠のいていく。
8月11日、どんな放送がおこなわれるのか、注視しようではないか。