前回のブログで「日本人になろうとした少年たち 台湾先住民“高砂族”の20世紀」(8月11日放送予定)について触れた。詳細は前回分を見ていただくとして、私が指摘したかったのは、NHK内部に中共(=中国共産党)史観が蔓延しているのではないかという点だった。
その後、この番組を紹介するNHKのHPを見たら、私が問題視した部分、すなわち「新たに台湾を支配した国民党政権から弾圧を受ける者。故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者」という部分が「時の政権から弾圧される者。故郷を捨て大陸に渡る者」に書き換えられていた。書き換え前の文章では、台湾に逃亡してきた国民党政権に極めて批判的で、その弾圧から逃れて中共(中国共産党)に入党したと読める。それではクレームが付くと気づいたのか、曖昧な表現に書き換えたということらしい。
意外にも、NHK関係者は、番組の評判を放送前から気にしているようだ。もし万が一、私のこのブログを読んで、番組紹介を書き換えたのだとしたら、大いに光栄なこと。かつてNHKブックスからは「中国共産党史序説上・下」(宇野重昭著)という名著が出たのだから、そこから少しは中国の政治史、共産党と国民党の相克の歴史を学ぶべきだろう。民主党政権の意向、中国当局の目ばかり気にして番組を作っていると、明日放送されるような番組になってしまうんだぞ、と予言しておく。
《8月10日現在の番組紹介》
かつて日本の統治下にあった台湾。その山間部に、当時“高砂族”と呼ばれた人々の村が点在する。戦時中、日本軍は、こうした村々から志願を募って部隊を編成。最前線に送り込まれた高砂族の若者たちは、山岳民としての高い身体能力を生かし、目を見張る活躍をする。しかし、日本の敗戦後、彼らを過酷な運命が待っていた。時の政権から弾圧される者。故郷を捨て大陸に渡る者。国家と戦争に翻弄され続けた民族の歴史を証言で描く。
【語り】伊東敏恵
《8月6日までの番組紹介》
かつて日本の統治下にあった台湾。その山間部に、当時“高砂族”と呼ばれた人々の村が点在する。戦時中日本軍は、こうした村々から志願を募り部隊を編成。最前線に送り込まれた高砂族の若者達は、山岳民としての高い身体能力を生かし、目を見張る活躍をする。しかし、日本の敗戦後、彼らを待っていたのは過酷な運命だった。新たに台湾を支配した国民党政権から弾圧を受ける者。故郷を捨て大陸で中国共産党に加わる者。国家と戦争に翻弄された台湾先住民の20世紀を、証言で浮かび上がらせる。
【語り】伊東敏恵