昨年、ジェームス・ラストが演奏活動から引退を表明して、「イージーリスニング音楽」「ムード音楽」の分野で今なお活躍するのは、このアンドレ・リュウとヨハン・シュトラウス・オーケストラだけになった。
7年ほど前になるが、アンドレ・リュウの初来日コンサートに私はでかけた。場所は、東京の国際フォーラム・Aホール。収容人員が5千人という大ホールなので、70人編成のオーケストラでもナマの音だけでは響かない。そこで、公然とPA(パブリック・アドレス 拡声装置)が使われたのだが、向かって右側に配置されているはずのチェロやコントラバスの音色が左側のスピーカーからも聞こえてきたりして、何とも奇妙な感じがした。
コンサートそのものは、ショウ・アップする要素が組み込まれていて、十分に楽しめた。例えば、「アンドリュース・シスターズ」のメドレーを女性管楽器奏者が器用に歌ったり、グレン・ミラー・メドレーを始めたりで、盛り上がったことを覚えている。
このコンサートで初めて聴いたのが、ショスタコーヴィチの「セカンド・ワルツ」。彼の「ジャズ組曲」の中の3つのワルツの一つなのだが、哀愁を帯びたメロディに惹かれた。ショスタコーヴィチは、何か意図があってこんなにもうらぶれたメロディを書いたのかと思った。後にこの曲のいろいろなヴァージョンを集めるきっかけともなった。
アンドレ・リュウのサイトを見ると、2008年末までぎっしりとコンサートのスケジュールが組まれている。前半はヨーロッパ大陸が主で、年末にはオーストラリア・ツアーが組まれているようだ。このように、アンドレ・リュウとヨハン・シュトラウス・オーケストラが、今なお人気があり、健在であることは喜ばしい限りだ。
視覚的にも十分楽しめる彼のコンサートは、オススメ。来日したら、ぜひ…聴きに行ってください。
《ウィキペディア》より
アンドレ・リュウ(André Rieu, 1949年10月1日 - )は、オランダの音楽家・指揮者・ヴァイオリニスト。マストリヒト出身。「音楽は楽しむもの」という信念のもと、人々にクラシック音楽を楽しく・気軽に楽しめるように、各種ユニークな演出を試みながら指揮・演奏をするスタイルをとり、ヨーロッパやアメリカで爆発的な人気を誇っている音楽家である。世界中で演奏活動を行い、近年、日本をはじめ、アジア各国でもその演奏は知られるようになった。2002年公開の映画『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)の主題歌を演奏するなど、日本においても近年知名度が高くなった音楽家である。自身でヨハン・シュトラウス・オーケストラを結成し、ヨハン・シュトラウス2世などのウィンナワルツに特に造詣が深いことでもしられている。