今年の上半期、ワーナー・ミュージック・ジャパンが、1960年代にリリースされた「ムード音楽」のアルバム(LP)を21枚、「Take it easy!」シリーズと題してCDに復刻・リリースした。主なところでは、ウェルナー・ミューラーのデッカ録音が7枚、マニュエル&ミュージック・オブ・マウンテンが4枚、ネルソン・リドルが2枚など。
「ムード音楽」という言葉さえ知らない世代が増える中、往年のオリジナル・アルバムを完全復刻したワーナー・ミュージックに対しては、大いなる感謝を伝えたい。同時に、売れ行きはどうなのだろうかと心配でたまらない。私の友人が後続のリリース予定があるのかどうか、ワーナーにメールで問い合わせたところ、何の返事もなかったという。彼は「そのこと自体がこたえでしょう」と言っている。つまり、案の定、売れ行きは芳しくなく、後続リリースの予定はないということらしい。
このシリーズの中で私が気に入ったのは、「ベスト・オブ・ポピュラー・ピアノ・コンチェルト」(ジョージ・グリーリーGeorge Greeleyのピアノ ワーナー・ブラザース管弦楽団 1961年録音)。クラシックのピアノ協奏曲風のアレンジで「慕情」「ローラ」などの名曲をG.グリーリーのピアノが奏でる。オーケストラはフル編成で、コンサート・ホールの響きが誇張なく収録されている。古色蒼然、いぶし銀のような音色、いまどきこんなアルバムに、そう巡り合えるものではない。
ウェルナー・ミューラーなどよりも知名度が低いG.グリーリーのこのCDは、おそらく千枚も売れていないのではないか。興味がある方は、今のうちに入手しておくのもいいかも。再リリースは絶対にありえないので…。
《ベスト・オブ・ポピュラー・ピアノ・コンチェルト」(ジョージ・グリーリー)》
発売日:2017年01月25日
価格:¥1,500(本体)+税
規格番号:WPCR-17583
Take It Easy!
今、イージー・リスニング・ミュージックが新しい! 50年代末から始まったステレオ録音の魅力を最初に 世界に伝えたフル・オーケストラによる魅惑の大人の音楽 が半世紀の風雪に耐えここによみがえる。
- ステレオ録音(一部除く)/オリジナル・ジャケット(一部除く)/最新デジタル・リマスタリング
- 日本・世界初CD化作品多数
M-1Love Is A Many-Splendored Thing / 慕情 | ||
M-2Laura / ローラ | ||
M-3Main Theme(On The Trail) Grand Canyon Suite / 「山道を行く(組曲「グランド・キャニオン」より)」 | ||
M-4An Affair To Remember(Our Love Affair) / 「過ぎし日の恋(映画「めぐり逢い」より)」 | ||
M-5Aloha Oe(Farewell To Thee) / アロハ・オエ | ||
M-6Three Coins In The Fountain / 愛の泉 | ||
M-7Street Scene / ストリート・シーン | ||
M-8Hawaiian War Chant / ハワイの戦いの歌 | ||
M-9Moonlight Sonata / 「月光(ベートーベン作曲ピアノソナタ「月光」より)」 | ||
M-10Come Back To Sorrento / 帰れソレントへ | ||
M-11Love Music / 愛の音楽(リヒャルド・ワグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」より) |