もう1種。カチドキダルマガレイである。この個体も3年前にうちの定置網で獲れ、日本初記録種として翌年の日本魚類学会年会でポスター発表された種である(大橋祐太ほか.2010 .鹿児島県から得られた日本初記録のダルマガレイ科魚類Crossorhombus valderostratus.)。昨日発行の鹿児島県自然愛護協会誌に掲載され、標準和名カチドキダルマガレイが提唱された。こちらの種もその後、種子島沖で見つかったので新聞では「鹿児島で」となる。カチドキダルマガレイの方はまだ論文を見ていないので詳細は分からない。うちではその後は獲れず、その1個体のみである。ダルマガレイの仲間は定置網で何種も獲れるのだが同定が難しく、自分では調べるのを最初から諦め、魚ボラ任せとしている。だが、このカチドキダルマガレイは無眼側の濃紫色斑に特徴があるので、確認すれば判別がつきそうである。この論文の著者の学生は既に大学を卒業し、地元に帰り就職して一般人となっている。カレイ類は種も多く同定も困難である。この面倒で手を付けたくないカレイ目を研究テーマにした学生が現れ、最初はチャレンジャーだなと思っていたが、1年で鹿児島のカレイ目を調べ上げ、見事にまとめて卒業していった。研究テーマがカレイ目だっただけにまだ大学に残ってもらいたかったが残念である。今後、またチャレンジャーだなと思わすような学生の出現を期待する。
もう1種。カチドキダルマガレイである。この個体も3年前にうちの定置網で獲れ、日本初記録種として翌年の日本魚類学会年会でポスター発表された種である(大橋祐太ほか.2010 .鹿児島県から得られた日本初記録のダルマガレイ科魚類Crossorhombus valderostratus.)。昨日発行の鹿児島県自然愛護協会誌に掲載され、標準和名カチドキダルマガレイが提唱された。こちらの種もその後、種子島沖で見つかったので新聞では「鹿児島で」となる。カチドキダルマガレイの方はまだ論文を見ていないので詳細は分からない。うちではその後は獲れず、その1個体のみである。ダルマガレイの仲間は定置網で何種も獲れるのだが同定が難しく、自分では調べるのを最初から諦め、魚ボラ任せとしている。だが、このカチドキダルマガレイは無眼側の濃紫色斑に特徴があるので、確認すれば判別がつきそうである。この論文の著者の学生は既に大学を卒業し、地元に帰り就職して一般人となっている。カレイ類は種も多く同定も困難である。この面倒で手を付けたくないカレイ目を研究テーマにした学生が現れ、最初はチャレンジャーだなと思っていたが、1年で鹿児島のカレイ目を調べ上げ、見事にまとめて卒業していった。研究テーマがカレイ目だっただけにまだ大学に残ってもらいたかったが残念である。今後、またチャレンジャーだなと思わすような学生の出現を期待する。
今朝、地元の新聞を見ると「鹿児島で2種日本初確認」と題してアカネヒメジとカチドキダルマガレイの記事が写真付きで載っている。この2種はうちの定置網で獲れ、日本初記録種として論文投稿されていた種である。まずはアカネヒメジ。28日発行の日本動物分類学会英文誌に掲載され、日本初記録種として標準和名をアカネヒメジと提唱された。アカネヒメジはもう5年近く前に初めて定置網で獲れ、魚ボラに持ち込んだ。それからも毎年獲れ、全てを標本用に確保していた。だが、先に新種記載されたサクヤヒメジ程は獲れていないがサイズ的にはさまざまな個体を確保している。サクヤヒメジはヨメヒメジに似るが、アカネヒメジはヒメジによく似る。サクヤヒメジは見て直ぐにわかるが、アカネヒメジは尾鰭下葉を見ないと区別が付かない。今月初めにも定置網内で泳いでいるヒメジを見つけ、掬い上げるとアカネヒメジであった。まだ生きた状態で確保した事がなかったので、そのまま船の活け間に入れ、持ち帰る。論文は既に投稿済みであったが魚ボラのM先生に連絡し、学生が車で片道1時間ちょっと掛かるところをわざわざこの1個体を受け取りに来てくれた。いつもなら新聞に載るといろいろな方から話し掛けられるが、今回はここ以外の場所でも見つかっており、新聞では採集された場所は「鹿児島で」となっているのでここの地名が大きく載らなかった為、地元では話題にならなかったのが残念である。だが、論文を読み返す(英文だが)と記載されている標本の採集日が別の場所で獲られた個体の方が古く、ここで最初に見つけた個体は2番目のようである。今まで自分のところのが初記録と思っていただけにショックである。
私がこの定置網漁に従事してから20年と半年が経つ。しかしこの定置網はそれ以上前からの操業。一昨年より網の老朽化が原因で時化や潮流により網が破断し、崩壊状態であった。そこで網元が定置網一式を新規投入する予定であった。ところがその後、東北の震災があり、東北を拠点としている網会社が震災復興に力を入れるという事でこちらの予定が延期となり、古い網を直しながら細々と漁を続けてきた。そしてようやく目途が付き、定置網一式の総入れ替え作業が始まろうとしている。そして今日、20数年頑張ってくれた定置網の最後の漁となる。漁模様は2キロ程のカンパチが多く、シイラ、メジナに今季初のカマスサワラなど網を揚げてしまうには惜しい程の大漁で締めくくる。そんな中、最近多いのがハガツオの若魚である。今までにも毎年ハガツオの幼魚が獲れるが目立つ程はいなかった。ところが今年はとても多く、日曜日など一日漁を休むと定置網内の雑魚を全て食べつくし、翌日の漁はハガツオばかりという事も。まだ成魚ではないが見た目は成魚とほぼ同じ。ハガツオは今までに標本写真を撮っていない。今捕れるハガツオなら家の撮影用の水槽にも入るので、持ち帰り撮影する。今後は網を入れ替える作業で忙しくなる。当然、漁を休むのでしばらくの間、魚と触れ合う事もない。新規の定置網で漁ができるようになるまでは、魚ボラ用の標本確保は他の漁師さん頼みである。新規の定置網漁再開までしばらくの間、魚達とはお別れとなる。