今日は水揚げを終え、市場をざっと散策するとヒラアジ類が2個体揚っているのが目に付く。見た感じよく揚るマルヒラアジやヒシヨロイアジに似た感じではあるが違和感がある。手に取ってよく見ると頭部背縁が眼の前方で凹んでいる。この凹みにより自分では魚種が何だかわからなくなる。確保してよく調べたいところではあるが、既に入札が始まろうとしていて、今の時点ではもう確保できる状況ではない。とりあえず写真にだけ収める。魚ボラに関わりのある水産会社へ卸してくれる仲買人にこの魚の事を伝え、取ってもらうように頼む。そして仕事へと戻る。仕事が終わり、その仲買人に聞くと予想を上回る高値だったそうで競り落とすことが出来なかったとの事。これでこの魚の確保は幻となる。家に帰るが用事があり、この魚の事を調べるのは夜となってしまう。ヨロイアジ属の中で私がまだ見たことが無いのはタイワンヨロイアジだけである。自分でわからなかったのでタイワンヨロイアジではないかと思い図鑑やネットで調べるが、検索図鑑の図では眼の前方が凹んでいない。だが、ネットでFISHBASEに掲載されている写真は眼の前に凹みが確認できる。それ以外の情報が無いのでFBにアップするとタイワンヨロイアジは臀鰭の基底近くに白点があることを教えてもらい、いろいろな写真を見るとその白点が確認できる。そこで今回の個体の写真を見てみると、2個体目の写真が臀鰭は開いていないが臀鰭に小白点らしきものが確認できる。この個体がタイワンヨロイアジであると確信するが時既に遅し。まだ市場にいる時であったら競り落とした仲買を調べ、この個体を探すこともできたかもしれず後悔する。タイワンヨロイアジといえば以前のマテアジによく似ており、日本における記録は私が生まれる前に三重県尾鷲からの2個体のみであったが、その後私が生まれた年に奄美大島から記録され、近年では10年前の2007年に愛知県美浜から記録されたのみである。国内での記録が非常に少なく、今回確保できなかったことが悔やまれる。マテアジのように今後沢山来てくれないだろうかと願うばかりである。
臀鰭の基底下に小白点が確認できる