お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

小さなヨコヅナマルコバン

2021年12月03日 | 市場
 今日は定置網漁を終え帰港すると、市場に小さなマルコバンが1個体水揚げされているのが目に付く。だが、今回の個体は背鰭軟条も短くコガネマルコバンの可能性がある。仲買人が来る前に確保する。家に帰り調べるとやはり普通のマルコバンではなくコガネマルコバンの可能性の方が高い。魚ボラの先生に連絡するとヨコヅナマルコバンの可能性も指摘される。確かにそうである。以前にコガネマルコバンに同定された個体が内部骨格の違いからヨコヅナマルコバンと改めて再同定されている(ブログ2019 7.9)。外見だけでは両種は判別出来ないのである。コガネマルコバンなら初確保、ヨコヅナマルコバンでも若魚は初確保となり、どちらの種でも初確保となるので綺麗な写真を撮ってもらう為に大学へと走る。大学に到着し先ずは展鰭して標本写真を撮ってもらう。その後ホルマリンで固定し、固定が終わり標本となってから頭部の骨格を調べるので今日は同定結果は出ないのだろうと思っていた。だが、固定する前に頭部を解剖し上後頭骨を調べてくれる。その結果、ヨコヅナマルコバンと同定される。自分としてはコガネマルコバンであれば標本確保魚種がもう1種増えるので良かったのだが、ヨコヅナマルコバンでも確認魚種としては増えないが、このサイズは初確保なのでやはり嬉しい。この個体は日本国内でヨコヅナマルコバンの3例目となりそうである。頭部を解剖した後は傷口を糸で縫合してからホルマリン固定となる。今後、ヨコヅナマルコバンかコガネマルコバンの標本は全て頭部に糸で縫合した跡のあるものとなりそうである。

市場に水揚げされているのを見つける



魚ボラの標本用に確保する



鹿児島大学へ









頭部を解剖し、上後頭骨を確認する







上後頭骨を確認する







解剖後、傷口は糸で縫合する



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