この季節、右を見ても左を見ても、上を向いても下を向いても、何かの実りに出会う。
ついついカメラを向けたくなる。
手紙投函の郵便局ウオーキングも、ホンのちょっと遠回りして裏通りに入ってみる。
小さく仕切られた畑が無数に広がる。その畑には色んなものが植えられている。今日は珍しい大きな豆の実に出会った。
見上げるほど天に向かって伸びるツル。ナイフの形をした大きな大きな豆。
遠い昔に聞いたジャックと豆の木を思い出させる頑丈さである。 サヤの形がナタや刀に似ていることから「ナタマメ」と名付けられた。「帯刀」(たてわき)という別名もあるらしい。
毒性があるため、すぐには食べられないが、加工すれば充分に食用として使われている。特にポピュラーなのは福神漬け。スライスを醤油で漬けたものが入っていて、ナタマメが多く入っている方が高級品とされているそうだ。
赤穂浪士が討ち入りの前にこのナタマメの味噌漬を食べて滋養をつけたと記されている。
ついでながら、花が絶えることなく咲くことから、強靭な生命力を子孫繁栄・家内繁盛の縁起物としたり、色んな旅立ちの成功や無事な帰還の縁起物としたと伝えられている。 現在では「ナタマメ茶」が健康食品として注目されているようだ。
効果は、あまり当てにならないことを「薬の効能書きのように…」と昔から言われるとおり、痔や蓄膿症、歯槽膿漏など膿みの病気、扁桃やのどの炎症、口内炎など……なににでも効果のある万能薬のようである。ちょっとマユツバ!
いずれにしても、ちょっと裏通りで見かけたナタマメにも、色んな物語りや歴史、人との関わりなど、楽しい話を耳にした。やっぱり人の臭いのする裏通りは思いがけない収穫がある。
( 写真: 長い頑丈なツルに大きな実を付ける ナタマメ )