「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「ほろにが青春期」

2009年09月07日 | 趣味・・エッセイ
「集合場所は八重洲口でーす」。念を押す先生の声を聞き終わるや、自由行動で新宿へ。
一応の目的を果たし、東京駅に戻った。集合時刻が迫るのに同級生の姿はない。
しばらくして、ここは丸の内側だと気付いた。どうすれば集合場所に行けるのか。

あっちにウロウロこっちにウロウロ。ついにタクシーで八重洲口へ。
そんなほろ苦さの残る東京との初対面。50年前の修学旅行での一コマである。

それ以来、具体的な夢や確固たる希望があるわけでもないのに、東京という大都会に無性に憧れた。
自分の力でなんとかなるという錯覚もあって、ただ憧れた。

結局は大きな一歩を踏み出せないまま地元で就職、親から感謝される日々となった。
「東京午前三時」など東京を歌い上げた演歌に、憧れの思いを重ねながら、普通の田舎の生活にいそしんだ。

そして50歳を過ぎて、図らずも東京本社勤務を拝命。あのころとは異なる感覚で、自分の力量を東京で試すチャンスを得た。仕事場としてはやり甲斐があった。しかし寸分のスキも見せられない怖さもあった。

子育てや親孝行は故郷に勝る所はない。  
                    
                     ( 2009.9.7 朝日新聞テーマ 「東京」 掲載 )

           ( 写真: 東京駅 丸の内側全景 )
コメント (14)
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