母を見送って1年1ヶ月。
今なお惜別の情になんら変わりはないのだけど、時の流れという自然の摂理に助けられながら、この胸の奥に宿る母への想いが少しずつ丸みを帯びてきている。
そんな、一周忌を終えた気持ちの一端を250字にまとめてみた。
「時の流れを」
母の一周忌を終えた。
母のお城であり寝室であった部屋は、今やソファーがドッカリ応接間に変身した。
毎朝、起きがけにシャッターを開ける。
人けのない寒い部屋が急に明るく生気を取り戻す。
壁や天井に埋め込まれた母の目を感じる時がある。
そのたびに、もっと優しく、ああしてこうして上げたらよかったのに、と頭をもたげる自責の念は相変わらずだ。
ただ目の前の悲しさに追われるだけではなく、遠い昔や幅広い母の全体像を思い出すゆとりが出て来始めた。
一年という時の流れか、気持ちは随分柔らかくなってきた。
(2009.12.8 毎日新聞はがき随筆 掲載)
( 写真: 母が好きだった「あなご飯御膳」 )
今なお惜別の情になんら変わりはないのだけど、時の流れという自然の摂理に助けられながら、この胸の奥に宿る母への想いが少しずつ丸みを帯びてきている。
そんな、一周忌を終えた気持ちの一端を250字にまとめてみた。
「時の流れを」
母の一周忌を終えた。
母のお城であり寝室であった部屋は、今やソファーがドッカリ応接間に変身した。
毎朝、起きがけにシャッターを開ける。
人けのない寒い部屋が急に明るく生気を取り戻す。
壁や天井に埋め込まれた母の目を感じる時がある。
そのたびに、もっと優しく、ああしてこうして上げたらよかったのに、と頭をもたげる自責の念は相変わらずだ。
ただ目の前の悲しさに追われるだけではなく、遠い昔や幅広い母の全体像を思い出すゆとりが出て来始めた。
一年という時の流れか、気持ちは随分柔らかくなってきた。
(2009.12.8 毎日新聞はがき随筆 掲載)
( 写真: 母が好きだった「あなご飯御膳」 )