「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「時の流れに…」

2009年12月08日 | 趣味・・エッセイ
母を見送って1年1ヶ月。
今なお惜別の情になんら変わりはないのだけど、時の流れという自然の摂理に助けられながら、この胸の奥に宿る母への想いが少しずつ丸みを帯びてきている。

そんな、一周忌を終えた気持ちの一端を250字にまとめてみた。


「時の流れを」      

 母の一周忌を終えた。

 母のお城であり寝室であった部屋は、今やソファーがドッカリ応接間に変身した。
 
 毎朝、起きがけにシャッターを開ける。
 人けのない寒い部屋が急に明るく生気を取り戻す。

 壁や天井に埋め込まれた母の目を感じる時がある。
 そのたびに、もっと優しく、ああしてこうして上げたらよかったのに、と頭をもたげる自責の念は相変わらずだ。
 
 ただ目の前の悲しさに追われるだけではなく、遠い昔や幅広い母の全体像を思い出すゆとりが出て来始めた。

 一年という時の流れか、気持ちは随分柔らかくなってきた。

                     (2009.12.8 毎日新聞はがき随筆 掲載)

         ( 写真: 母が好きだった「あなご飯御膳」 )

コメント (10)
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