周りの田圃は稲刈りはすんでいる。
だがその田圃だけは、見捨てられているようだ。

気がついたときは風が押し倒したと思っていた。
ところがほんの一部分だったところが日増しに
拡大して稲の色が抜けてきた。

稲に病気が発生したのだと確信した。
調べてみると、浮塵子の被害に遭っていた。
最初に見た稲の倒れていたところは浮塵子にやられて出来た
”坪かれ”と言う現象だった。
浮塵子は5ミリほどの小さな虫らしいけれど
享保や天保の大飢饉の原因だった。
農家の人に聞くと、浮塵子にやられたらお終いだよ、と言っていた。