目覚めてベットの左側にある窓から西の空を見るとバルーンが二つ浮いていて眠気眼を手でこすっていた。
本物のバルーンを見るのは初めてだった。
最近はサイクリングコースの海岸へ行くと、土日に広い砂浜を利用してモーターパラセールを楽しんでいる人がいて、悠々と海の上に出て、カモメの上を飛んでいるのを羨ましく思うことがある。
しかし今朝はバルーンの突然の出現で驚いた。
ベットから飛び起きて階下の妻に、大声で、「熱気球が飛んでるぞ、上がっておいで」と叫んでいた。
カメラを持って上がって来て、パチパチと盛んに写しながら、「何処から飛んでいるの」と言うものだから、「よ~し確認してくる」と言って、着替えてカメラを持って、自転車で飛び出していた。
予想とは違って意外と距離は近かった。
10分程行くとバルーンは段々と大きくなって来て、気球を追いかけて沢山の人が走っている所に遭遇した。
そして川土手の坂道を必死でベダルを踏んで上に上がると広場があって、その向こうの川の上を着陸するかのような低空で川上に向かって移動していた。
しばらく橋の上から様子を見ていたが、国道の信号が変わると川沿いの道をバルーンを追いかけた。
少し行くと突然気球が視界から消えてしまった。
恐らく着地したのだろうと思って、川を渡る橋に出るまで一層ベダルに力を入れて踏み込んだ。
橋を渡って県道の信号を渡ると、高い天井川の下の収穫を終えたばかりの田圃に着地していた。
畦道を走って着陸地点へ行くと沢山の人だかりができていて、子供達がクルーと記念写真を撮っていた。
私も負けずに、気球の地上スタッフの女性にお願いして、気球の前に立って記念写真を撮ってもらった。
そばで見ると本当に大きかった。
それにしても気球の中の空気を暖めた浮力で飛ぶなんて、自分には恐ろしくてできそうも無い。
気球の膜は破れないのか心配になった。
ガスは家庭用の20㎏のプロパンガスを3本積んでいて、120分飛べる、と言っていた。
風がなくなったら目標地点へどうやって行くのか本で読んだことがあるが、高度を変えて風を探す、と書かれていたように思う。
このバルーンのキャプテン(?)は日本の5本の指に入る方だ、と現地に来ていた知り合いのモーターパラセラーの方に教えてもらった。
納得した。