常々世界の半導体のトップシェアを誇った日本が何故凋落してしまったのかよく分からなかったがこの本を読んで納得がいった。筆者は日立ち日立の半導体を主導し、世界の半導体業界をリードしたすごい人だった。モトローラやインテルといった先端企業と競い合っていた。日立ちはモトローラと提携して、新しく日立の技術を向上させ遂には凌駕した。マイクロソフトのWindowsに関わり、IBMとも一緒に仕事をしていた。日立が日本の半導体のトップだったと初めて知った。
何故トップを走りながら韓国や台湾に抜かれて10%代まで落ちてしまったのか、と言う状況が渦中の人の言葉で語られていた。それは日本の半導体がカシオの計算器に組み込まれて爆発的に売れたのが端緒で国内の家電に殆ど利用されたので次世代の半導体への対応が遅れた。更に米国を超えた日本に対して米国は“日米半導体協定”を締結し、日本企業は自分で販売価額が決められなくなった。その間に韓国や台湾が力をつけ引き離されてしまった。更には工場を持たないファブレス企業が主流になって業界の様相が激変してしまった事が挙げられるだろう。半導体企業の浮沈の様子は分かったけれど製品の名称などはよく分からなかった。しかし面白い読み物だった。
そうそうアップルのアイホンの登場が大きな変革の転機だったとも書かれていた。
著者の牧本次生さんの先見の明とリーダーシップには頭が下がった。
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