数か月前に読んだ「競歩王」が面白かったので、作者の額賀澪さんがスポーツ青春小説を得意にしているのではないかと思った。
そう思って、調べてみたら、「タスキメシ」という名の本があることを知り、今回読んでみた。
主人公の年齢が、高校生から大学生なので、私にとっては自分の若い頃から40、50年もたってしまっている。
そういう主人公に心情を同化するにはいささか時間がたちすぎているなあ…と思いながら読んでいた。
ただ、登場人物たちの、若い頃特有の悩みや挫折の経験がよく描かれている。
読み始めると、一気に読んでしまった。
そういえば、自分もそんな思いをしたこともあったっけ…と思うこともあった。
挫折にぶつかって、悩みまくったこともあった。
そんなことは、人生から比べたら本当に短い間でしかないのだが、その当時は真剣に悩んだものだった。
その感覚を思い出せて、楽しかった。
そして、それ以外に、友情や愛情、思いやりなどが絡みながら、ストーリーが展開される。
ただ、読む前には、「タスキメシ」というからには、駅伝と食事のこと、食べ物と走ることのかかわりがもう少し詳しく描かれるのかと思ったが、そういうわけではなかった。
まあ、それでも食べることは登場人物に深いかかわりがあったので、まあこだわらないことにする。
けがをして、自分が好きだったスポーツから離れなくてはいけなくなるという心理は、自分でも経験したことがあるから、少しはわかる。
学生時代に、自分も卓球の公式戦の試合でけがをしてしまったことがあった。
そのことが、それから先の人生を変える契機の一つになったことは、間違いのないことなのだ。
だから、けがをしてあきらめるか、けがをしても復活に向けて努力するかによって、未来が大きく変わるということは十分あることなのだ。
また、小説特有の、個性的な個々の人物の描き方があった。
そんな個性的な人と人とのかかわりが、ストーリーをふくらませていた。
読後感、さわやかだった。
額賀澪さんの作品は、もう2,3冊読んでみてもいいな、と思った。