全日本選手権大会。
毎年この時期楽しみにしているのが、卓球の全日本。
注目は、男女ともオリンピック日本代表となった選手たちの活躍。
例年なら、男女のダブルスや混合ダブルスなども行われるが、今年はCOVID-19 感染症のために、シングルスしか行われないことになった。
観衆も入れずに、テレビやネットでの観戦となってしまった。
今回は、COVID-19 感染症の影響が色濃く見られた。
感染症対策として、「日本卓球協会における新型コロナウイルス感染症対策のガイドライン」に沿って、大会が行われた。
だから、例えば、次のような制限があった。
1)以下の事項に該当する場合は、自主的に参加を見合わせること
・ 体調がよくない場合(例:発熱・咳・咽頭痛などの症状がある場合)
・ 同居家族や身近な知人に新型コロナウイルス感染が疑われる方がいる場合
・ 過去 14 日以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航又は当該在住者との濃厚接触がある場合
(以下略)
…このような規定により、男子で去年ベスト4の戸上選手ほか、有力な選手に棄権した選手が何人かいた。
そして、試合でも次のようなことが求められた。
2)試合を行う際の留意点
1)当面の間、チェンジエンドは行なわない(ITTF ガイドラインに準拠)
2)タオルの共用はしない
2)飲料は自分専用のものを飲み、回し飲みはしない
3)卓球台の上で手を拭いたりしない
4)シューズの裏を手で拭くことはしない
5)握手などの身体を接触させる挨拶は行わない
このほかにも、試合中に大声を出すことは慎むよう求められたりした。
そのせいか、日本でトップの実力を持つ張本智和選手が、大声を出すと注意を受けたりしてリズムに乗れなかった。
ベスト8決定戦では、なんとか相手のマッチポイントをしのいで逆転勝ちしたが、準々決勝では、及川選手の攻撃をしのぐだけの精神的な粘りが残っていなかった。
男子シングルスでは、もう一人の日本代表丹羽孝希選手も、準々決勝で敗れてしまった。
決勝は、森薗政崇選手と及川瑞基の一戦となり、先手を取って攻めるサウスポーの森薗選手と、両ハンドでしのぐ及川選手の一戦となった。
森薗選手優位かと思って見ていた一戦は、やはり3-1とリードした森薗選手だったが、バリエーションのある及川選手の粘りに追い上げられた。
それでも、第6ゲームではマッチポイントを握ったのは、森薗だった。
及川が、9-10の劣勢から強気の攻めを見せ、追いつく。
10-10で迎えたとき、森薗は、今まで一番効果があったサーブを、及川のフォアに出した。
サイドを切って取りにくいこのボールを、及川は、卓球台より低いあたりでドライブして返した。
そのボールは、なんとネットの横を抜けて、ほとんど台の高さくらいで、森薗のコートを滑るようにして入った。
森薗は、これを返せず失点すると、その後も及川の得点となり、ジュースで森薗を突き放した。
この試合、ここで勝負あった。
動揺した森薗は、最終ゲームでミスが増え、及川に初優勝を譲る形となってしまった。
及川の粘り勝ちだった。
女子は、準決勝の早田ひな対伊藤美誠の対戦が事実上の優勝決定戦といわれた。
3年連続の準決勝対決で、今年は、伊藤が早田に4-3で雪辱した。
同年代の力のある2人の試合は見ごたえがあった。
これが女子の試合かと思うような、スピードとパワーにあふれるプレーは、まさに「事実上の…」と言われるだけのことがあった。
勝機を逃さなかった伊藤の勝負強さは、さすがだと思った。
決勝でも、5年ぶりの優勝を目指す石川佳純をスピードとパワーで上回り、途中まで伊藤が3-1とリードし、順調に勝つと思われた。
ところが、石川は、ここまで全日本を4回優勝し、オリンピックに3回も出てメダルを獲得してきたのはだてではないと思わせてくれた。
解説の福原愛さんが言っていたが、「自分が打って取るのも1点、相手のミスで取るのも1点」なのだ。
サービスやボールの速さ、回転、コースなどを微妙に変え、強いボールを打ってくる伊藤のミスを、巧みに誘っていた。
プレーの中で微妙な変化をつけることによって、伊藤にミスが多くなった。
ミスが多くなると、消極的になる。
メンタルな部分の影響が実に大きい。
そこから石川は、自分の得点を増やし、ときには自分から打って出て要所を締めていた。
伊藤や早田のようなすごいボールはないかもしれないが、なんとかして食いついていって勝負しよう、という気持ちが表れていた。
結局、不利と思われていた石川が伊藤に勝ち、見事に5年ぶり5回目の優勝を果たした。
こうして、今年の試合を見ながら、卓球は、本当にメンタルが大きく左右するスポーツだと思った。
男女とも、特に決勝でそれが如実に表れるのを見た。
心技体そろえられた方が勝つのだなあ、と思った。
それにしても、技術はすごく進歩したなあ。
両ハンドでバチバチ打ち合ったり、変化の激しいサービスを出したりするなんて、昔自分がしていたときとレベルの差がなんと激しいことか。
心技体すばらしい試合をたくさん見せてもらった今年の全日本卓球選手権大会であった。
毎年この時期楽しみにしているのが、卓球の全日本。
注目は、男女ともオリンピック日本代表となった選手たちの活躍。
例年なら、男女のダブルスや混合ダブルスなども行われるが、今年はCOVID-19 感染症のために、シングルスしか行われないことになった。
観衆も入れずに、テレビやネットでの観戦となってしまった。
今回は、COVID-19 感染症の影響が色濃く見られた。
感染症対策として、「日本卓球協会における新型コロナウイルス感染症対策のガイドライン」に沿って、大会が行われた。
だから、例えば、次のような制限があった。
1)以下の事項に該当する場合は、自主的に参加を見合わせること
・ 体調がよくない場合(例:発熱・咳・咽頭痛などの症状がある場合)
・ 同居家族や身近な知人に新型コロナウイルス感染が疑われる方がいる場合
・ 過去 14 日以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航又は当該在住者との濃厚接触がある場合
(以下略)
…このような規定により、男子で去年ベスト4の戸上選手ほか、有力な選手に棄権した選手が何人かいた。
そして、試合でも次のようなことが求められた。
2)試合を行う際の留意点
1)当面の間、チェンジエンドは行なわない(ITTF ガイドラインに準拠)
2)タオルの共用はしない
2)飲料は自分専用のものを飲み、回し飲みはしない
3)卓球台の上で手を拭いたりしない
4)シューズの裏を手で拭くことはしない
5)握手などの身体を接触させる挨拶は行わない
このほかにも、試合中に大声を出すことは慎むよう求められたりした。
そのせいか、日本でトップの実力を持つ張本智和選手が、大声を出すと注意を受けたりしてリズムに乗れなかった。
ベスト8決定戦では、なんとか相手のマッチポイントをしのいで逆転勝ちしたが、準々決勝では、及川選手の攻撃をしのぐだけの精神的な粘りが残っていなかった。
男子シングルスでは、もう一人の日本代表丹羽孝希選手も、準々決勝で敗れてしまった。
決勝は、森薗政崇選手と及川瑞基の一戦となり、先手を取って攻めるサウスポーの森薗選手と、両ハンドでしのぐ及川選手の一戦となった。
森薗選手優位かと思って見ていた一戦は、やはり3-1とリードした森薗選手だったが、バリエーションのある及川選手の粘りに追い上げられた。
それでも、第6ゲームではマッチポイントを握ったのは、森薗だった。
及川が、9-10の劣勢から強気の攻めを見せ、追いつく。
10-10で迎えたとき、森薗は、今まで一番効果があったサーブを、及川のフォアに出した。
サイドを切って取りにくいこのボールを、及川は、卓球台より低いあたりでドライブして返した。
そのボールは、なんとネットの横を抜けて、ほとんど台の高さくらいで、森薗のコートを滑るようにして入った。
森薗は、これを返せず失点すると、その後も及川の得点となり、ジュースで森薗を突き放した。
この試合、ここで勝負あった。
動揺した森薗は、最終ゲームでミスが増え、及川に初優勝を譲る形となってしまった。
及川の粘り勝ちだった。
女子は、準決勝の早田ひな対伊藤美誠の対戦が事実上の優勝決定戦といわれた。
3年連続の準決勝対決で、今年は、伊藤が早田に4-3で雪辱した。
同年代の力のある2人の試合は見ごたえがあった。
これが女子の試合かと思うような、スピードとパワーにあふれるプレーは、まさに「事実上の…」と言われるだけのことがあった。
勝機を逃さなかった伊藤の勝負強さは、さすがだと思った。
決勝でも、5年ぶりの優勝を目指す石川佳純をスピードとパワーで上回り、途中まで伊藤が3-1とリードし、順調に勝つと思われた。
ところが、石川は、ここまで全日本を4回優勝し、オリンピックに3回も出てメダルを獲得してきたのはだてではないと思わせてくれた。
解説の福原愛さんが言っていたが、「自分が打って取るのも1点、相手のミスで取るのも1点」なのだ。
サービスやボールの速さ、回転、コースなどを微妙に変え、強いボールを打ってくる伊藤のミスを、巧みに誘っていた。
プレーの中で微妙な変化をつけることによって、伊藤にミスが多くなった。
ミスが多くなると、消極的になる。
メンタルな部分の影響が実に大きい。
そこから石川は、自分の得点を増やし、ときには自分から打って出て要所を締めていた。
伊藤や早田のようなすごいボールはないかもしれないが、なんとかして食いついていって勝負しよう、という気持ちが表れていた。
結局、不利と思われていた石川が伊藤に勝ち、見事に5年ぶり5回目の優勝を果たした。
こうして、今年の試合を見ながら、卓球は、本当にメンタルが大きく左右するスポーツだと思った。
男女とも、特に決勝でそれが如実に表れるのを見た。
心技体そろえられた方が勝つのだなあ、と思った。
それにしても、技術はすごく進歩したなあ。
両ハンドでバチバチ打ち合ったり、変化の激しいサービスを出したりするなんて、昔自分がしていたときとレベルの差がなんと激しいことか。
心技体すばらしい試合をたくさん見せてもらった今年の全日本卓球選手権大会であった。