ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

吉田拓郎のラストアルバム「ah面白かった」を聴いた

2022-07-05 18:32:32 | うた


先週、吉田拓郎が、自身で「ラスト・アルバム」と位置づけるニューアルバム「ah-面白かった」が発売された。
「フォーク界の若手旗手」とか言われた彼も、もう76歳。
のどに衰えを感じ、2020年のライブツアーを最後にしようと決めていたのだが、この感染症禍でできなかったのだという。

………
私の高校時代に、拓郎は「結婚しようよ」とか「旅の宿」とかをヒットさせていたけれど、なんだか歌の内容が軟弱に感じた。
おまけに、なんだか気が強くて負けず嫌いな言動が目立ち、好きになれずにいた。

それが変わってきたのは、アルバム「今はまだ人生を語らず」を聴いてからだった。



もっとも、聴くきっかけとなったのは、「それがいい」「拓郎に夢中だ」というコがいて(もちろん同年代の女性だ)、そのコから何回も聞かされると、気になってしかたなかったということだったのだが。
ただ、ひねくれ者の私は、すぐには買わなかった。
よく聴きもしないで、あんな軟弱な歌い手の曲なんか聴くものか、と思っていた。

結局買ったのは、そのアルバムがリリースされてから2年以上もたってから。
池袋にあった古レコード店で見つけて思い出し、購入して聴いたのだった。
出だしからノリがよく、アレンジも印象的な曲が続いた。
「ペニーレーンでバーボン」
「人生を語らず」
「世捨人唄」
「おはよう」
…もうここまで一気に聴かされると、それまでの拓郎のイメージが変わった。
非常に男っぽい!
なるほど、あのコが推していたのも分かる!
そう思ったのだった。

それ以来、何年もアルバムが出るたびに購入し、彼の歌を聴いてきた。
また、エッセーもよく出版されていたので、「俺だけダルセーニョ」とか「自分の事は棚に上げて」などの本も、買って読んだものだった。

そんな彼の曲は、10年間くらい聴かなかったこともあった。
だが、自分が50代に近づいたころから、10歳近く年上の彼がまだがんばっている姿に、どんな歌を歌っているのか知りたくて、また楽曲を購入するようになった。

その拓郎も、もう76歳。
のどがもたないとは聴くが、“ラストアルバム”とは、非常に残念だ。

そのアルバム「ah-面白かった」を購入し、聴いた。
CD等と一緒に入っていたライナーノーツには、全9曲について、1つ1つ書かれている文章があった。



1曲1曲じっくり聴きながら、それに合わせてライナーノーツの文章を1つ1つ読んでいった。
ただ曲を聴いているだけではわからない、拓郎の思いが、歌と文章の両方を一緒にすることで、よりはっきりと響いてくるものがあった。
それによって、KinKi Kidsの両名や篠原ともえとの出会い、小田和正との付き合いなどに対しても、人生を通じて感謝の思いをもっていることが伝わってきた。
感謝の思い、ということでは、最後に、母への思いも綴られていたのが印象的だった。

このアルバムの各曲が、それなりにいいなあ、と思った。
だが、このアルバムの曲たちが発表されても、これらがコンサートで披露されることは、もうないのだ。
そのことをとても口惜しく思った。

若い頃から、レコードやCDをたくさん買い、たくさんその曲を聴いてきた。
そのヒーローの一人が引退する。
寂しさと、それに合わせて自分の年齢も同様に上がっていることを、今まで以上に痛感した今回のアルバムであった。
コメント
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