アルビレックス新潟がJ2に降格してから2年。
J1昇格どころか、その参入プレーオフ圏内の6位にも入れていない新潟。
1993年にJリーグが始まったとき、J1・J2・J3というカテゴリーはなかった。
あの開始当時のチームは、「オリジナル10」と呼ばれている。
そして、1999年にJ2のカテゴリーができた。
そこには、当時アルビレックス新潟を含む10チームがいたのだった。
あの頃は弱いチームもあったのだが、今やJ2は決して弱いチームの集まりではないと、痛感している。
今月、元日本代表で現在も横浜FCで活躍している松井大輔が出した新著が気になって購入した。
その書名が「サッカー・J2論」。
J2リーグで、キャリア20年の半分の約10年間選手生活を送っている松井氏がどんなことを書いているのか、気になったのだ。
本の裏表紙には、次のような見どころが書いてある。
・予算規模はJ1の3分の1。
・ユニフォーム交換は選手の自腹
・ゲートボールをしている隣で練習
・オフは1か月に4日未満のときも
…
そのような実話もよかったが、
「・外国人助っ人事情」
「・新卒選手があえてJ2を選ぶ時代に」
「・J2で勝てる戦術 J1で勝てる戦術」
という項目の内容が、興味深く納得するものだった。+
特に、戦術に関しては、なるほど、と思った。
J2が発足した当時は、多くのチームがロングボールを多用していた。
(新潟もそうだったかもしれない)
ショートパスをつないで相手の守備組織を崩していく技術が低かったため、自陣から遠くへボールを蹴って突破口を見出していた。
アバウトなボールでも、J2ならば相手がミスしてくれるかもしれない。
ただし、J1になった瞬間にその戦術が通用しなくなるというケースは多い。
J2で勝てるサッカーとJ1で勝つサッカーは、まったく違うということを強く主張しておきたい。
チームの強化にはしっかりとしたビジョンが必要。
好例として近年の昇格組から大分トリニータがある。
大分は、2016年に片野坂監督が就任してから、J3からJ2を経て、今季J1の上位で活躍した。
J2を戦うチームの方針として、昇格を優先するのか、その先のJ1での戦いも見据えたチーム作りをするのか。どちらが正解とは断言できないだけに、とても難しい。
(そこでブレてしまったのが、新潟ではなかったか?)
新潟も、J1への復帰を目指す以上、どうするのか考える必要がある。
新潟は、今季から、アカデミーに「メソッド部門」を設けた。
このたび、アルベルト・プッチ・オルトネダ新監督を招へいした。
ゼネラルマネージャーを設置し、玉乃淳氏を起用した。
社長がこのような方策を次々と打って出ている。
ということは、長期的に強いチームづくりをしようという意図が見える。
今後、アルビレックス新潟が「J2論」で語られた強いチームになることを期待したい。