なんと! 文字が逆さまになった記念碑。
「京都印刷発祥の地」 と刻まれています。
これは、活版印刷に用いられていた「活字」 を模してあります。
ここは京都地下鉄 「烏丸御池駅・からすまおいけ」 の南側改札口付近です。
ですので、地上ではありません。
京都で初めて近代印刷業として開業した「點林堂・てんりんどう」(烏丸三条上る)
の跡地に近く、明治24年(1891)結成の申合組合「京都府印刷工業組合」の
120周年を記念してこの記念碑が建てられました。
建立にあたり、「京都芸術造形大学」 の協力があったそうです。
日本における近代的な活版印刷は、明治2年に日本印刷の祖、
「本木昌造」 によって長崎で実現されました。
その弟子が大阪、京都に開業したのが「點林堂・てんりんどう」 です。
印刷方式は「活字主体の活版」 「写真なども印刷する活版の一種、凸版」
「平版・リトグラフ」 「オフセット」 「凹版」 「孔版・スクリーン」 など
複雑にありますが、現在はこれにコンピューターが加わり、日進月歩しています。
これは鉛で出来た活字、活版印刷の命です。
父親は印刷業をなりわいとしていました。
年老いて一人暮らしが難しくなった父から「天職」とまで言わしめた
「印刷業」 を取り上げたのは誰あろう、私です。
私には他に出来ることがなかったのですが、申し訳ない気持ちが今も消えません。
一緒に暮らすため、父の家を処分した時、細かな印刷の道具をほんの少し
残しておきました。そのひとつです。
活字には、インキがまだ付いていたらしく包んでおいた紙に移っていました。
でも、あの懐かしいインキの匂いはもうありません。