さて次に向かうのは醍醐寺、豊臣秀吉のド派手な花見で有名な名刹です。お寺への道は観光地図のおおざっぱ記憶なので、霧のような梅雨の中を迷い歩く人生そのものです。
角を曲がって来たおじさんにお寺への道を尋ねると、こっちだよと一緒にテクテク歩いてくれました。横浜からのひとり旅だと答えると、しげしげと感心している体でした。途中左官屋さんにも道を聞いてようやく山すその醍醐寺です。青葉のトンネルを抜けるとくすんだ丹色の金堂(国宝)が迎えてくれました。お堂の前でお線香を灯してから仏前にひとり端座しました。
薄暗い金堂の端に屋根瓦補修への寄進が出来るとあるので、控える若い僧に千円お出しお札をだきました。もっと明るい所に寄進の案内を出して功徳を積めることを勧めればいいのにと思います。願(がん)はわがご先祖への供養といたしました。
棒になった脚を投げ出して金堂から青葉の眺めを独占していますと不思議と脚も軽くなった感じです。洛南は人里はなれて人出がすくなくジックリ派には穴場ですよ。
近くの五重塔も国宝で、どっかと骨太い勇壮なものです。バリアに覆われて濁世の梅雨を受け付けない気品があります。近づいたりはなれたり塔の周辺を歩き回りました。上醍醐の方へのぼる元気はもう出ませんでした。