四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

『おくのほそ道』と旅をしましょう

2011-06-06 09:34:14 | 生かされて今日
 上智大名誉教授の大輪先生について名著を学んでおります。晩学の生徒たちが教室に充満していますよ。
悲しみの震災となさけない政界、その上に梅雨の時節到来ですが、先生のさわやかな講義に時を忘れます。今日は芭蕉翁の石巻のくだりを学びました。ここは大津波の甚大な被害地で懸念されます。

『人跡まれに・・ゆきかう道そこともわかずついに路ふみたがえて石の巻といふ湊にいづ。・・思ひかけずかかる所にも来れるかなと、宿からんとすれど更に宿かす人なし。ようやくまどしき小家に一夜をあかして、明くれば又知らぬ道まよひ行く』

このくだりは芭蕉さんのフィクション創作です。当時仙台石巻間は幹線道路で迷い歩く道ではないし、石巻は当初から予定しています。途中で喉が乾きさ湯(生水は危ないから避けています)を乞うたが得られず難儀していたらコンノ源太左衛門という武士が見かねて知人宅で呑ませてくれ、宿も紹介してくれています。翌日も現地の二人が同行したのでスイスイと一関へ歩けたのです。
翁に同行した曽良の几帳面な旅日記を引きあわせて読むととても面白く、芭蕉さんの推敲編集の力が垣間見えるのです。事実を記録する文ではなく、「おくのほそ道」は全体がポエムですし、主人公の「余」はイクオール芭蕉本人ではありません。
是非この名文と共に旅をしませんか。陽暦換算の今日は那須、殺生石を尋ねる二人です。
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