永田和宏氏の歌
『もうすぐ夏至だ。冬至の日はうれしい。これからどんどん明るくなるのだと思うと、まだ真冬だというのに心が明るむ。夏至は嫌だ。あとは明るい時間がどんどん短くなってゆくばかり。』
○一日が過ぎれば一日減つてゆく
君との時間 もうすぐ夏至だ
河野裕子さんの歌
●この家に君との時間はどれぐらゐ
残っていゐるか梁よ答へよ
永田和宏氏
『まだあと十年ぐらいは二人一緒に、老いてゆく時間を楽しむはずだった。すべての大切なものは、失って初めて身にしみてわかるものだ。己に残された時間も然り。』
○あほやなあと笑ひのけぞりまた笑う
あなたの椅子にあなたがゐない
○わたくしは死んではいけないわたくしが
死ぬときあなたがほんたうに死ぬ
『死者は、生存者の記憶の中にしか生きられない。だからもっとも河野裕子を知っているものとして、長く生きていたいと思う。それが彼女を生かしておく唯一の方法なのだと思う。』
(愛別離苦を耐えられた科学者、永田先生の言葉が心を打つ・・・駿)