「こんにちは」
チャイムでなしにいきなり玄関の戸が開いた。
夕方娘が来るというので、会議の後のティタイムもそこそこに帰宅した直後だった。慌てて出て行くと娘が靴を脱いでいた。
「電話をしたら駅まで行ったのに・・」そういう私に、「歩いて来たの、大阪から。」その応えに驚いた。
緑橋の家を出発したのが、午前4時38分。星空に朧な月が半分より少し大きかったという。
ネットで道のりを計ると49,41キロ。ここに着いたのが14時27分。9時間50分掛けて歩いてきたのだ。時速、5,02キロとかなり速い。
ソックスを脱いで、指先を点検しながら「マメも水ぶくれも出来てないわ。5本指ソックスのお陰」と言う。
前に大阪から京都まで歩く計画で出かけたら、枚方辺りで、指の痛さでリタイアし、「歩こう会」の人に手当てをしてもらった際、5本指ソックスで歩くと、マメが出来ないと教えて貰い今回それを履いてきたのだとの事。
マスクは排気ガス、手袋帽子は、日焼けと対策3点セットだと笑いながら話す娘に、
「まあ!大阪からここまで歩いてこようなんてよう考えたもんやなぁ!少し休んでから、温泉に行こう」
「しんどかったけど、前へ進む一歩が、この家に進んでるんだって、お母さんの家が目的地やから、歩き通せたと思うわ」の言葉に涙が出そうになった。
娘の、意志の強さと健康、健脚にびっくり仰天の4月2日だった。
それを支える娘の夫や、孫達にも、心から、応援有り難うと伝えたい。