庭に面した2部屋の和室の廊下の隅から、音楽が聴こえてくる。
哀愁を帯びた八尾の風の盆のメロディーが、流れ八尾の風の盆の世界へ、誘われる。
私は実際行ったことがなく、テレビなどの映像で知るのみだったが、影絵の黒い踊り姿に、色彩を加えた形で、座敷の舞台での踊りが生き生きと伝わってくるようだ。
これは、Kさんご夫婦が風の盆に行かれた時の思い出を影絵に再現された素敵な作品だ。
越中おわら節の哀切感に満ちた旋律にのって、坂が多い町の道筋で無言の踊り手たちが洗練された踊りを披露する。艶やかで優雅な女踊り、勇壮な男踊り、哀調のある音色を奏でる胡弓の調べなどが来訪者を魅了する。おわら風の盆が行なわれる3日間、合計25万人前後の見物客が八尾を訪れ、町はたいへんな賑わいをみせる。2006年(平成18年)に、「とやまの文化財百選(とやまの祭り百選部門)」に選定されている。
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風の盆の感動をこのような形で、お庭の灯籠鑑賞に合わせて、見せて頂けたことに、2度目であったが、最初の時の感動を更に大きくしたような素晴らしい演出に心を打たれた。
もう一つの座敷の影絵も実に素晴らしい。
私は勝手にこちらの方は「ふるさと幻影」という題をつけてここに描かれている、何とも言えない懐かしさ、優しさ、温かさがご夫婦の生き方そのものであるような気がする。
初めてこれらの作品を見せて頂いてから、もう何年かたっているが、今この作品と出会ったような新鮮さで眺められる。
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上の2枚の画像は、庭木を入れて写してみた。障子の向こうの影絵と、お庭の植木と一体となって
ふるさと幻影が幻影でなく実像としてK邸の座敷とお庭を、このように開放して見せて頂いた今年の夏の灯籠の灯りは、心に灯りをともしてもらえたようで嬉しいことだった。
誘ってくださったタカコさんにも感謝・感謝である。おしまい