斑鳩の里を車で通過する時、田園を背景にした法起寺の塔の美しさに、いつもはっとした感動を覚えます。
その塔がこの季節、秋桜に抱かれたような光景は、斑鳩の里の大好きな光景です。
車に乗れる間は、ここには毎年この季節には、「花と塔」に出会いに来たいと思っています。
山門ですが大抵横の通用門から、人はお詣りしています。
今年は、秋桜に寄せて短歌・和歌・俳句を探してみました。
万葉集には秋桜を詠んだ和歌はありません。
どの時代に入ってきた花なのかしらと思いながら、詠んだ作者を思い描いています。
以下画像とはかかわりなく、秋桜を詠んだ詠を選びながら、塔と秋桜を鑑賞したいと思います。
晶子
いつしかとこすもす咲きぬ草の中細雨の前のともし灯のごと
晶子
去年ありし赤児の笑にたぐへつるこすもすの花匂ふ秋きぬ
利玄
疲れたる光の中にコスモスのあらはに咲ける午後頭痛する
利玄
コスモスの花群がりてはつきりと光をはじくつめたき日ぐれ
利玄
日光に近き停車場杉の木の暗きが前にコスモス光る
茂吉
コスモスの闇にゆらげばわが少女天の戸に残る光を見つつ
コスモスの花に蚊帳乾す田家かな 鬼城
コスモスの花咲きしなひ立もどり 虚子
日曜の空とコスモスと晴れにけり 万太郎
晶子
秋風にこすもすの立つ悲しけれ危き中のよろこびに似て
晶子
こすもすよ強く立てよと云ひに行く女の子かな秋雨の中
牧水
ながながと折れたるままに先青みわづか擡げてコスモス咲けり
晶子
大空の青きとばりによりそひて人を思へるこすもすの花
こうして秋桜の詠を見ていますと、与謝野晶子の短歌がかなり多いのが分かりました。
短歌の作者・与謝野晶子、木下利玄、斎藤茂吉、若山牧水はいずれも明治時代の、歌人なので、コスモスも
この頃には歌人俳人の目を捉えていたのでしょうね。