迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

純愛の秋風。

2022-10-23 10:14:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で、觀世流「井筒」を聴く。死後もなほ在原業平を想ひ續ける女の究極の愛が、旧在原寺跡を舞臺にしっとりと展開される、世阿彌晩年の名作。 女が業平形見の冠直衣を身に付けてまで昔を想ひ、待ち續けるのは、生前に結局は業平を最後まで待つことが出来ず、折から言ひ寄ってきた他の男に身(からだ)を許してしまった後悔からとも考へることが、後シテが謠ふ「真弓槻弓(まゆみつきゆみ)年を經て……」に窺へる。心では . . . 本文を読む
コメント