迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

焦がれて悶えて燃える秋。

2022-10-02 10:31:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で、觀世流の「砧」を聴く。三年も孤閨をかこった果てに寂しく死んだ妻の悲哀劇で、「後の世の人はこの能の味はいはわからないだらう」と作者の世阿彌が云ったとも傳はる、たしかに謠の節付も演技の型も傑出した一曲。前場の最後、シテの妻が地謠にのせてゆっくりと橋掛を揚げ幕へ入り、介抱するやうに後を付いてゐた侍女が、橋掛の途中で立ち止まってシオリ(泣く型)をすることで、妻が病没したことを暗示する演出はつ . . . 本文を読む
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