迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

「哀惜」。

2018-12-01 19:51:55 | 浮世見聞記
思ひがけずこんなに素晴らしい……、いや、素晴らしすぎるものを手に入れる。

なかを開けば、そこには少年時代に憧れた、記憶のなかのヨコハマが。



これぞ、原点!

ロケ地は何度も通ってゐるが、せっかく手に入れたこのマップを手に、あらためて散策するのもいいなぁ──

と思ってゐたら、奇しくも昨日、制作会社社長で「あぶない刑事」のプロデューサーでもあった黒澤満氏が亡くなったことを知る。


そこで、ヨコハマの魅力を最大限に惹き出した功労者である黒澤満氏を悼む心で、あの頃のヨコハマがまだ辛うじて残ってゐる“現場”を、『港303』を携へて訪ねばやと、存じ候。


「あぶない刑事」と云へば、港湾倉庫地帯でのドンパチである。

その倉庫地帯も、現在ではほとんどが更地化を経て、ありふれた高層マンション地帯へと変貌しつつある。

が、かつての神奈川台場を埋め立てた周辺は、まだ当時を偲ばせる景色が見られる。



オープニングテーマや、大好きな近藤課長の「大バカもん!」を頭のなかでリピートさせながら、



いつまでこのヨコハマが見られるだらうかと、



すぐそこでも建築中の高層マンションに、抗ひ難き現実を見る。


そして、歩いて象の鼻パークまで移動し、「あぶない刑事」の定番である山下臨港線の跡を背景に、



もふ一枚。


ドラマは作り物でも、その背景に映ってゐる横浜は現実である。

その現実があるからこそ、作り物は生彩を放ち、見る者の心に深く刻み込まれる。

すべてを低俗な虚構で塗り固めることしか出来ない現今の映像屋には、しょせん無理な注文であり、また理解もできないだらう。


それでもよい。


そんなものは、見なければよいだけのことだ。



横浜へ来れば、

まだまだヨコハマを楽しめる。


黒澤満氏に、

感謝!





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