“新古書店”の前で、廢品回収業者が賣れなかった“新古書”を、横付けしたトラックの荷台へ次々に放り込んでゐる様を目撃する。
この“新古書店”の場合、賣れなかったり、また値段が付かなかった“新古書”は、引き取っても結局は廢棄処分するとは聞いてゐたが、まさかその現場を白昼下で堂々と見せつけられるのは、思ってもゐなかった。
古本にはとてもお世話になってゐる私としては、決して氣分が良くない。
この“新古書店”企業が、日本の書籍文化の一端を決して担ってゐないことはとっくに氣が付いてゐたが、せめて人目に付かないやうにやる配慮もないところに、その認識が外れでないことを改めて識る。
いくら再利用の可能性がある物でも、それを扱ふ業者にはしょせん、「カネになるか、ならないか」だけの認識しかないといふことか。
この本がほかに讀みたいと思ふ人の手許へ届きますやうに──
さう願ふときは、仲介役へ託さずに自らの手で行なったはうが、確實のやうだ。