迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

にじむ篝火佐渡寶生。

2017-08-17 00:40:07 | 浮世見聞記
神奈川県相模原市で行われた「相模原薪能」へ久しぶりに出かけ、宝生流の能を観る。


今回は朝から雨のため、相模大野駅ちかくの文化ホールに会場を移しての演能。

おかげで、巫女のコスプレをした女子大生どもの、危なっかしい手つきの火入れ式を見ずに済んだ。


番組は仕舞が二番に、大蔵流山本東次郎家の狂言「蝸牛」、能は宗家がシテをつとめる「橋弁慶」で、“謡宝生”にふさわしい地謡を堪能する。

あれだけの謡に“入場無料”で接することが出来るとは、ありがたい限りだ。

ひとへに、伝統芸能普及の最大の障壁は、入場料が異常に高価(たか)いこと。

「言葉が難しくて云々……」など、初めから自分の国の伝統文化を理解する気のない輩の言ひ訳にすぎぬ。


さて、今回は番組の始まりに、“佐渡宝生”の仕舞があり、それを観ることも今回出かけた理由だ。

曲は「玉葛(たまかずら)」。

先月の旅で、懐かしい日本と出逢ったあの島から遥々やって来たのかと思ふと、、

たまらなく胸へ込み上げてきた旅愁が、

涙となって、

こぼれ落ちさうになった。
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