迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ここに恒例復活!

2024-02-04 22:17:00 | 浮世見聞記


四年ぶりに、橫濱市保土ケ谷區の岩間市民プラザで「サイレントシネマ&活弁ワールド」を樂しむ。



毎年一回、この時期に岩間市民プラザで開催される活辯士・坂本頼光による無聲映画上映會へ出かけることは、かつて私の恒例行事のひとつとなってゐたが、まさに人災疫病が國内で確認された直後の令和二年の第十回いらい無沙汰となり、その後上映會が再開されても會場がなかなかの“3密”のため出かける氣になれなかったが、十四回目となる今回は大河内傳次郎主演の「水戸黄門」に惹かれて、恒例行事復活のきっかけとなる。


その「水戸黄門 来國次の巻」(昭和九年 日活京都)は、三年がかり三部作で制作された第一部で、水戸光圀が信州山中で名刀“来國次”を、大河内傳次郎が二役で扮する浪人者に盗まれたことから始まる騒動劇、


(※案内チラシより)

宿敵の柳澤吉保がなにか陰謀を企んでゐるらしいことを匂はせたところで一巻の終はりなのが殘念、當時三十代の大河内傳次郎扮するご老公様が、立廻り(チャンバラ)になると實年齢そのままのキレキレな動きを見せる落差に、巧まぬ喜劇味を感じた。


もふ一本は米國喜劇で、バスター・キートン主演の「海底王キートン」(大正十三年)、無人で漂流する大型客船を舞薹に、たった一人の“新婚旅行”に出るはずだったお坊ちゃん青年と、思いがけず船に乗り込む羽目となった戀人とのドタバタ劇、


(※同)

後半の“人食い人種”たちとの凄絶な(?)戦ひを、坂本頼光がおかしみに富んだ語りをつけて、むしろ耳で樂しんだ一篇。


今回は一篇目に三味線、二篇目にギターと、一人の奏者が樂器を使ひ分けての生演奏も付いて、なんとも贅澤な氣分にさせてもらふ。



散會後、ロビーの隅で挨拶に立つ坂本頼光の姿を視界に捉へ乍ら、つぎの年もまた来られたらいいな、とその充實感ゆゑに思って、驛への道をいく。








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