(【http://jp.techcrunch.com/2017/01/20/20170119ai-software-is-figuring-out-how-to-best-humans-at-designing-new-ai-software/】)
【ロボット活用で人間作業を代替】
長崎・ハウステンボスに多くのロボットを活用する「変なホテル」という名前のホテルがありますが、千葉県浦安市にも2号店を開業し、経営側は今後この種のホテルを増やしていく方針とか。
****HIS、「変なホテル」100軒体制目指す大胆戦略 投資枠は最大2000億円、ホテル事業に本腰****
旅行会社大手HISがホテル業強化の姿勢を鮮明にしている。同社は3月15日、千葉県浦安市に「変なホテル舞浜 東京ベイ」(以下東京ベイ)を開業すると発表した。
会見したHISの澤田秀雄会長兼社長は「変なホテルは変化し、進化し続けるポリシーで作られたホテル。新しいビジネスモデルを世界に展開していきたい」と語った。
9種類、140体のロボットを投入
HISのグループ会社ハウステンボス(長崎県佐世保市)は、2015年7月に「変なホテル」初号棟(以下、初号棟)を開業。受付やクローク、室内清掃にロボットを活用した作りで話題を集めた。今回、東京ベイは2軒目のロボットホテルとなる。
東京ベイにも9種類、140体のロボットを投入。受付にはベロキラプトルのロボットほか、水槽の魚類ロボット、実物大のティラノサウルスの模型などを配置。全客室にもAIを搭載したコンシェルジュロボットを備えている。(後略)【3月20日 東洋経済online】
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ロボットを活用と言っても、現在のレベルは“昨年秋に記者も初号棟に自腹で泊まってみた。ロボットを活用したとはいうものの、チェックインや部屋の空調・照明設定はタブレットで行い、荷物を運ぶポーターロボットも移動できるフロアが限られている。記者の主観ではあるが、HIS側が強調するほど、ロボットが活躍しているようには思えない。”【同上】ということで、現段階では物珍しさによる“客寄せ”効果を狙ったものようでもあります。
ただ、大規模ホテルの割に雇用者が少ないのは確かなようで、TV報道によれば、浦安市側には雇用対策の効果が限定的となることへの懸念もあるようです。
研究の現場でも、単純作業はロボットに・・・・という試みもあるようです。
****ロボットで働き方改革 実験の単純作業を代行へ*****
研究現場の長時間労働を少しでも減らそうと、九州大学がことし6月、実験に伴う単純作業を国内外の研究者から受注し、ロボットに任せる新たな拠点を設けることがわかりました。
文部科学省科学技術・学術政策研究所が2年前にまとめた調査では、自然科学系を中心に大学の助教の半数近く、ポスドクと呼ばれる非常勤の研究者の3割で、労働時間が週60時間以上となっていて、理系の研究現場では長時間労働が課題となっています。
こうした中、九州大学が、東京のロボットベンチャー企業、RBIとともに、国内外の研究者から単純作業を受注してロボットに任せる新たな拠点を、ことし6月に九州大学の生体防御医学研究所に設けることがわかりました。
拠点に導入されるのは、北九州市の安川電機が開発した2本の腕が自在に動き、物をつかむこともできるロボットで、プログラムを変更すれば、試薬を注入したり移動させたりといった、人が行ってきたさまざまな種類の作業を1台で代行することができます。
また、緊張や疲れで手が震えることなく、ミリ単位で24時間同じ作業を繰り返すことができるため、研究者を単純作業から解放し、研究時間の確保や家庭との両立を可能にしたいとしています。
九州大学生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授は「研究者が先のことを考える余裕や、プライベートな時間を持つことができるようになればと期待しています」と話しています。【3月19日 NHK】
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【進化するAI】
単純作業は人間よりロボットのほうが向いているというのは常識的でもあり、製造現場では以前から実現されていますが、今後私たちの生活・仕事のどれだけがロボットに代替されるかは、人工知能AIの発達次第でしょう。
AIへの注目は今に始まった話ではありません。
個人的な話になりますが、まだ会社勤めをしていた30年ほど前(“ワープロ”が活躍する時代で、個人用のパソコンはそれほど一般的ではなかった時代です)、AIや通信の技術革新の影響・重要性について職場の意識を高めるための取り組みを社員研修等で指導するように業務命令されたことがあります。
自分自身訳がわからないまま、いろんな資料など集めたりもしたのですが、その後、通信の方はあっという間にインターネット社会という形で実現しました。
人工知能の方は、当時は“翻訳”が代表的な作業でしたが、箸にも棒にもかからないレベルが続きました。
オンライン翻訳サイトも、ついこの前までは、「どうしてこんな低レベルなのか?」と不思議なぐらいの水準でしたが、最近のgoogle翻訳などは、格段に進化したように思えます。囲碁などでも人間を超えるレベルに達したことは周知のところです。
ようやく実効性のあるAIに向けた技術環境が整ってきたということでしょうか。
こういう技術は、いったん動き出すと、一気に進化する側面もあります。人間ではなく、人工知能プログラムが高度な人工知能プログラムを書けるようになれば加速度的に“進化”します。
****IBMが進める空気が読めるAI開発****
IBMワトソンは2011年にアメリカのクイズ番組ジェオパディに出場し、人間を差し置いて優勝したことで有名になったAIシステム。
それまでにチェス、将棋ではAIが人間に勝利していたが、これらはボードゲームでありゲームのルールを徹底的に教えこむことでAIを訓練できた。しかしクイズ番組は質問内容を的確に理解し、答えを見つける、というより人間の頭脳に近い作業である。
そのワトソン開発に携わったIBMのCTO、ロブ・ハイ氏がサンフランシスコで開催されたAIワールド・コンベンションでワトソンの現在についてのプレゼンテーションを行った。
コグニティブ・インテリジェンス
ワトソンはその後も進化を続けているが、現在IBMが目指す方向は「コグニティブ・インテリジェンス」だ。文字通り人間の認識力を備えたシステムの実現。
人間の会話を理解するだけではなく、そこから合理的な答えを導き、それに基づいた返答、会話への介入を行う。
このところ米国で急速に増えている、会話ロボット「チャットボット」の一種だが、テキストを通してではなく自然に人間の会話に加わり必要とされる作業を自分で見つけ出す、という点が大きな違いだ。(中略)【2016年11月12日 WEDGE】
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こうしたレベルのAIを搭載したロボットが一般化すれば、いろんな仕事をロボットに委ねることも可能になります。
一番、確実な需要が見込めるのは“セックス用ロボット”でしょう。
眉を顰める向きもあるでしょうが、確実・膨大な需要は、他のAIロボット活用面における技術革新の大きな牽引力にもなります。
****人間とセックスするロボット、年内にも市場に?*****
ロボットとセックスできる時代はすぐそこまで来ている──昨年末に英ロンドンで開催された、人型ロボット(ヒューマノイド)との関係に関する倫理基準について話し合う国際会議で、ある専門家はこう語った。
映画『エクス・マキナ』や米ドラマ「ウエストワールド」などを見ても分かるように、「セックスボット(sexbot)」と呼ばれるロボットのセックスパートナーは最近のSF作品では定番の題材だ。
だが一部の専門家たちは、セックスボットはもはやSF世界の話ではないと考えている。今年中には、人間のセックスの相手をするようにプログラミングされた、金属とゴムと樹脂製のセックスボットが現実世界に登場するというのだ。
「セックスボットの第一号の誕生に伴い、ロボットとのセックスは2017年中には現実になる」と、人工知能(AI)の専門家デービッド・レビー氏はロンドン大学ゴールドスミスカレッジで開催された「ロボットとの愛とセックスに関する国際会議」で語った。(中略)
■「あなたならロボットを恋人にする?」
一方、レビー氏は、論理的な展開として、次はロボットとの結婚も起こり得ると語った。「ロボットとのセックスが普通になるにつれて、ロボットとの結婚は非常に現実味を帯びてくるだろう」として、早くて2050年にはロボットとの結婚を考える人々も出てくるはずだと主張する。(中略)
しかし、今のところはまだ、多くの人々にとってヒューマノイドとの性的な関係は現実離れしたもののようだ。
シティ大学ロンドンとマレーシアのイマジニアリング研究所が共同で行った試験的な調査で、セックスボットに愛情を感じ得るかなど、セックスボットの捉え方に関するアンケートを行ったところ、多くの人が人間がロボットに引き付けられる可能性はあるとの見方を示した。
だが、シティ大学ロンドンでキッセンジャーの開発に携わった博士課程の学生、エマ・ヤン・ジャン氏によれば、「あなたならロボットを恋人にしますか?」という質問には大半の人が「ノー」と答えたという。
レビー氏が示唆するように人間とロボットとの愛を受け入れたとしても、いざ自分がロボットと付き合うかと言えば、そこまでの変化は当分起きそうにないとホール氏は言う。
一方で、AIに大きな期待を寄せる人々は、今年のいつごろ新世代のセックスボットが市場に出るのかと熱い視線を送っている。【1月17日 AFP】
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【AIロボットに仕事を奪われる?】
「セックスボット(sexbot)」はさておき、仕事・生活におけるロボットが一般的になれば、「じゃ、人間は何をすればいいのか?」という話にもなります。
ロボットに仕事を奪われて失業する・・・という話も、現実味を帯びてきます。
****22世紀仕事の80%はAIが行う****
11月7-9日、サンフランシスコで開催されたAIワールド・コンベンション。AIの発達は人類の未来になにをもたらすのか、というのは多くの人が関心を持つ分野だろう。11月7日、コンベンションではパネルディスカッションとマッキンゼーの研究者による発表を通し、この点についての分析が行われた。(中略)
AIがもたらす未来
ここではAIがもたらす未来の利点が主題となった。パネリストによる主張では AIはヒューマニティに大きな役割を果たす、という。
まず、AIの導入により煩雑な事務手続きが省ける。その分資源の節約に役立つ、という利点がある。従来紙に印刷していたことをデジタル上で処理できることにより、自然資源が節約できる。同時に意思決定までの時間が大幅に短縮できることにより、電気などの資源節約にも役立つ。
次に、投資に対するリターンの向上が見込めることで、企業の利益率が改善する。これが従業員の給与にも反映し、全体として豊かな社会の構築につながる。
もちろんAI導入により従業員のカットも考えられるが、この点に関しては「政治的な解決」が望まれる。例えば米国でフルタイム勤務とされるのは週に40時間の労働だが、政府主導でこれを30時間とする、ただし賃金は減額しない、などの労働環境改善により、「AIに仕事を奪われた失業率の増大」を防ぐ可能性がある。
もっともAI導入はまず低賃金の仕事にインパクトを与える。たとえば、ライドシェアサービスのUberが商業用自動運転に力を入れているが、この結果トラックドライバー、宅配サービスのドライバーなどが職を失う可能性がある。またファストフードの店員がバーチャルキオスクに置き換えられる、銀行の窓口業務もしかり、など、導入当初は失業率の増加につながる可能性はある。
一方で世界の人口は先進国を中心に高齢化している。この社会に対応するために、例えば介護ロボット、あるいは高齢者のコンパニオンという形でのAI 導入は今後の成長が見込める分野でもある。
また教育の現場でも、AIによる学生指導、カリキュラムのアシストなども可能性がある分野だ。企業ではデータを最大限に活かすことで意思決定をたやすくし、利益の増大につなげる、企業が抱える問題点の指摘、分析を行う、とAIに期待できる点は多い。
いかに常識を学ばせるか
問題は「いかにAIに常識を学ばせるか」という点にある。折しも米国では大統領選挙投票日でもあり、「次の大統領候補はAIになると思うか」という質問が飛び出すほど、人間に近づいたAI への興味は高い。業界にもテスラCEOイーロン・マスク氏のように「AI恐怖症」を隠さない向きもある。
マッキンゼーの研究者、マイケル・チューイ氏によると、大企業のCEOのような複雑かつ責任の重い仕事でも「AIに置き換えられないことはない」という。もちろんそれが実現するには数十年かかるだろうが、AIによる職業置換はエントリーレベルの仕事から始まり、最終的には研究職、データ・サイエンティストでさえAI が対応できる社会は来る、という。
チューイ氏は「おそらく2100年には80%の仕事はAIが行えるようになるだろう」と予測する。
2016年のG19諸国のGDP成長を見ても、全体平均では3.6%の成長、うち雇用の増加に伴うものは1.7%、生産性の向上によるものが1.8%。この数字は数年後には雇用の増加部分が1%以下になる、と見込まれる。つまり先進国はAIによる効率の増大でしか経済成長が見込めない時代はすぐそこまで来ている。(後略)【2016年11月10日 WEDGE】
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ちなみに、機械・AIが奪う職業ランキング(米国)の上位15位は、小売店販売員、会計士、一般事務員、セールスマン、一般秘書、飲食カウンター接客係、商店レジ打ち係や切符販売員、箱詰め積み降ろしなどの作業員、帳簿係などの金融取引記録保全員、大型トラック・ローリー車の運転手、コールセンター案内係、乗用車・タクシー・バンの運転手、中央官庁職員など上級公務員、調理人(料理人の下で働く人)、ビル管理人・・・だそうです。【2016年6月11日 IDEASITY】
現在の「移民が仕事を奪った」という憎しみが「AIロボットが仕事を奪った」という憎しみに変わるのでしょうか?イギリス産業革命当時の、機械打ち壊し運動(ラッダイト運動)をも連想させます。
【「生きがい」「貢献感」にも配慮した「分配」のソーシャルデザイン】
そこで重要になるのが「分配」であり、具体的には“ベーシックインカム”のような制度が試行されています。
****AI時代の大問題、労働のない社会は成立するのか?*****
カギは「分配」のデザイン
JBpressの記事「人工知能に奪われない最後の2つの仕事とは」にショックを受けた人は多いのではないか。なにせ「人間に残される仕事はイノベーションとコミュニケーションの2つしかない」というのだから。もしその仕事に就けなかったとしたら、失業者になってしまうということになる。(
今の漫才師を見ても、売れるのは一握り。売れ続けるのは奇跡。コミュニケーションで食べていこうとしても、漫才師と同様、食べていくのは相当に難しいだろう。イノベーションにしたって、現時点でも成功者は一握り。つまり、「ほとんどの人が失業する」というご託宣を受けた印象だ。
失業者だらけの社会は成り立つか
そこでふと、不思議に思う。ほとんどの人が失業した社会って、本当に成立するのだろうか?
ドローンが運送業をするようになり、自動運転でタクシーの運転手も要らなくなり、多くの企業で人工知能やロボットが働いて人がいなくなり、失業者だらけの社会。
失業者にはお金がない。お金がないから買えない。せっかく自動化して商品をこれまでになく安く提供できるようになっても、その安い商品さえ購入できない人ばかり。すると、その自動化システムを維持するだけの売り上げも確保できないのではないか。
コストカットしようとして雇用を減らしたら、商品を買ってくれるはずのお客さんもいなくなるという皮肉。自動化社会は、もしかしたら自滅システムなのかもしれない。(中略)
ならば、「労働」していなくてもお金を配る仕組みを作らざるを得なくなるだろう。働いているかどうかを問わず、一定のお金を配り、みなさんに消費を続けてもらう。ベーシックインカムというやつだ。
お金を渡す条件が「労働する義務」から「消費する義務」に変わるという、現在の私たちにはちょっと想像のつかない大転換となる。(中略)
「分配」が社会を運営する基礎
食糧問題の視点から見ると、「分配」という考え方はカギになる。(中略)食糧危機は、食糧生産の絶対量の不足で起きるというより、分配がうまく機能しないことによって起きるのだ。
これまでの経済システムは、「労働」を分配の条件としてきた。しかし人工知能が労働を消してしまったら、分配不全による食糧危機が発生する恐れがある。(中略)
資本主義社会は「労働」を分配の対価として位置づけることで成功してきた。だが、近年は一部の投資家や起業家にだけお金が集中し、分配不全が起き始めている。このままでは、治療を施さない重い糖尿病患者と同じになってしまうだろう。
新しい「分配」のデザイン
新しい時代の「分配」は、「労働」以外のどんな根拠で行えば、機能不全に陥らずに済むのだろう? ここからは「ソーシャルデザイン」の仕事になる。そしておそらく、ソーシャルデザインには「生きがい」という視点が重要になるだろう。
自動化社会では労働が大幅になくなってしまうから、誰かの役に立つという「貢献感」を得にくい。誰かの役に立っている、だから私は生きていて構わないんだ、私の居場所はここなんだ、という「居場所感」も持ちにくい。
それらがないと、たとえベーシックインカムで生きていくことができるとしても、なんだか生きる甲斐がない。人間というのは「パンのみに生くるにあらず」という、実に面倒くさい生き物なのだ。
貢献感、居場所感を確保しつつ、生きるのに十分な食料を分配し、行き渡らせる。これらの課題にどう辻褄を合わせて社会を設計するのか。人間心理を知悉した、ソーシャルデザインを本気で考えなければならない時代に来ているのかもしれない。【3月24日 篠原 信氏 JB Press】
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ベーシックインカムは単に収入を保証するだけでなく、生活のためではなく、貢献感、居場所感を得るための労働をも可能にする制度である・・・という主張(本当かどうかは別にして)については、1月17日ブログ“ベーシックインカム 「人は何のために働くのか?」 フィンランドで試験的導入開始”http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20170117でも取り上げました。
AIロボットの問題点なども含めて、話はここからですが、例によって長くなりすぎたので、また別の機会に。