(露中部カザンで、契約締結時は「最大210万ルーブル」と書かれた募集の貼り紙がある地下鉄の入り口(10月25日)【11月24日 読売】)
【「肉ひき器」戦略で兵士不足 あの手この手の志願兵確保対策】
ロシアはウクライナの戦線で犠牲者の増加を厭わない戦術をとっていると以前から言われています。
****「肉ひき器」戦略****
私たちが話を聞いたロシア兵によると、ロシアのいわゆる「肉ひき器」戦略は減速することなく続いているという。
この表現は、ウクライナ軍を消耗させ、ロシアの砲兵にウクライナ軍の位置が露呈するように、ロシア政府が容赦なく兵士を前方に送り込むというやり方を表すために使われている。
オンライン上で共有されているドローン(無人機)映像には、ロシア部隊が装備や大砲や軍用車両の支援がほとんどあるいは全くない状態で、ウクライナ軍の陣地を攻撃している様子が映っている。【9月20日 BBC】
*************************
こうした戦術の結果、当然に犠牲者は増加します。
****ロシア軍兵士の死者7万8000人以上に” 英BBCなどが独自調査****
ロシアがおととし始めたウクライナへの軍事侵攻で、これまでに確認されたロシア軍兵士の死者の数は7万8000人以上に上るとイギリスのBBCなどが伝えました。(中略)
15日に報じられた最新の調査結果によりますと、これまでに確認できた死者数は7万8329人に上っているほか、ことし9月から今月にかけて死者の数が去年の同じ時期と比べておよそ1.5倍に増えているとしています。
死者が増加しているのは、ロシア軍がウクライナ東部のドネツク州で兵士の犠牲をいとわない攻撃を続けていることなどが背景にあると見られます。(後略)【11月17日 NHK】
死者が増加しているのは、ロシア軍がウクライナ東部のドネツク州で兵士の犠牲をいとわない攻撃を続けていることなどが背景にあると見られます。(後略)【11月17日 NHK】
********************
またBBC調査では、戦死者の約20%が志願兵(開戦後にロシア軍に加わった民間人)だったことも指摘されています。
志願兵はほとんど訓練もされないまま、粗末な装備で前線に送られ「肉ひき器」戦略を担っています。
こうした兵士の消耗を補うべくロシア当局は、ウクライナ侵攻に加わる兵士らが抱える借金を1千万ルーブル(約1480万円)を限度に返済免除とするという「借金帳消し」などを含むあの手この手で志願兵確保に躍起となっています。
****プーチン政権、志願兵確保に躍起…一時金の追加メニュー・債務免除・帰還時の優遇措置****
ロシアのプーチン政権が、ウクライナ侵略に従軍する志願兵の確保に躍起になっている。
契約の際に支給される一時金など金銭面の補償や、帰還後の待遇など、優遇策は枚挙にいとまがない。前線での犠牲者が増える中、受刑者の活用や北朝鮮からの兵士派遣でも需要を満たせず、国民に不人気な動員には踏み切れない苦しい現状が透けて見える。
10月下旬、ロシア中部カザン。郊外の地下鉄駅そばの露軍事務所には、契約書類を書くため窓口に列を作る男性たちの姿があった。
「勝利の軍団に参加を」
街中のビラにはスローガンの横に、契約時の一時金「最大210万ルーブル」(約310万円)の数字が躍る。
ウクライナ侵略での前線地域なら月収として「最大21万ルーブル」(約31万円)。国民の平均月収約7万ルーブル(約10万円)の3倍にあたる。
軍事務所のホームページによれば、「攻撃作戦への参加で8000ルーブル」「ヘリ撃墜で20万ルーブル」「戦車破壊で50万ルーブル」など追加の一時金のメニューもある。
申請を済ませた30歳代の男性は「愛国心から応募した」としつつ、一時金にも満足げだ。「これだけあれば、残す家族も生活に困らないはず」。契約が完了すれば、前線に1年送られる。
プーチン大統領は今月23日、少なくとも1年間、ウクライナ侵略に従軍する兵士として契約すれば、最大1000万ルーブル(約1480万円)の債務を免除する法律に署名した。受刑者が契約で恩赦や犯罪歴の抹消などを認められる法律に続き、なりふり構わない措置だ。
今年7月には、契約時に連邦政府から支給する一時金をこれまでの約2倍に増額し、地方当局にも加算を促した。モスクワでは、連邦政府とモスクワ市などの合計で、一時金は520万ルーブル(約770万円)まで跳ね上がっている。
帰還した元兵士には、就職や大学進学の優遇措置、家賃補助などの支援もある。プーチン氏は2月の年次教書演説で前線の兵士ら「愛国者」こそ次代を担うリーダーだと訴え、優遇の必要があると公言している。
元兵士を行政幹部や議員に登用する動きも相次ぐ。(中略)9月の統一地方選でも元兵士が与党から各地の議会選に出馬し、多数の議員が誕生した。
徹底した優遇策で志願兵を募るのは人的資源の確保に苦しむ証拠だ。英BBCと露独立系メディア「メディアゾナ」によれば、確認されただけで露軍兵士の死者数は今月中旬時点で7万8000人超だ。
政権は22年9月の部分動員で世論の反発を招き、支持率を下げた。
一時金などの支払いでにわかに大金を手にした兵士や家族の羽振りが良くなり、国内消費を押し上げているとの指摘があるほどだ。
ただ、金銭目的だけで軍と契約する人ばかりというわけでもなさそうだ。カザンの軍事務所を訪れた別の30歳代男性は二度目の従軍だが、前回の従軍から帰還後、平和な日常では「居場所がなかった」と打ち明けた。「従軍希望者には、お金目的や、スリルを味わいたい人もいる。ただ、自分のように社会からはみ出した人間もいるんだ」【11月24日 読売】
************************
【西側想定を裏切るロシア経済の活況 バブル状態 制約は人手不足】
ロシア軍の侵攻に伴って制裁を課した西側では、当初、ロシア経済は制裁の効果で悪化し、国民の生活は苦しくなり、不満が増加する・・・と予想されていましたが、上記記事にあるような兵士への大盤振る舞い、軍需産業への政府資金投入等もあって、ロシア経済は「バブル」とも言えるような活況を呈しているようです。ただ、経済面でも制約となっているのが人手不足。
*****国際社会から経済制裁を受けているはずのロシアでなぜ…
ウクライナ侵攻後のロシアで「予想外のバブル」が起きていた*****
なぜロシアにバブルが起きているのか? フィナンシャル・タイムズ(英国)
政府支出の急増と人手不足が引き金となって実質賃金が高騰し、ロシア国民はお金を湯水のように使っている。そこには景気過熱のリスクがあると英紙は指摘する。
予想に反したバブル到来
2022年、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始すると、ロシア第2の都市サンクトペテルブルク在住のアントンは、自身が経営するレストランが最悪の事態に見舞われるのではないかと危惧した。外国人旅行客は姿を消し、西側諸国の制裁によるロシア経済崩壊を見越して金利は急上昇。地元住民も外食どころではなくなった、とアントンは話す。
しかし、これは取り越し苦労だった。ここ2年で状況は完全に回復し、お金に余裕ができたロシア人は消費に意欲的だ。
対ウクライナ戦争が長期化するにつれ、戦時下にある防衛産業が好況で給与が上昇すると、民間企業も同様に給与を上げないと、深刻な人材不足のさなかに労働者を呼び込めなくなった。こうしてロシアは思いがけず、個人消費ブームを迎えた。
しかし、これは取り越し苦労だった。ここ2年で状況は完全に回復し、お金に余裕ができたロシア人は消費に意欲的だ。
対ウクライナ戦争が長期化するにつれ、戦時下にある防衛産業が好況で給与が上昇すると、民間企業も同様に給与を上げないと、深刻な人材不足のさなかに労働者を呼び込めなくなった。こうしてロシアは思いがけず、個人消費ブームを迎えた。
「実質賃金は急上昇しています」と話すのは、ドイツ国際安全保障研究所(SWP)のロシア経済専門家ヤニス・クルーゲだ。「ウクライナへの全面侵攻前は収入がスズメの涙ほどだった人も、不意に大金を手にするようになっています」。ロシア連邦統計局によると、実質賃金は14%近く上昇し、財・サービスの消費はおよそ25%の伸びを見せている。
ロシアのマクロ経済分析・短期予測センター(CAMAC)によると、2024年は実質賃金がさらに3.5%、実質可処分所得も3%の上昇が見込まれている。
ロシアのマクロ経済分析・短期予測センター(CAMAC)によると、2024年は実質賃金がさらに3.5%、実質可処分所得も3%の上昇が見込まれている。
失業率については、2022年には7%から8%に達すると予測されていたが、2024年4月時点で2.6%と、ソビエト連邦崩壊以降で最低となった。爆発的な賃金上昇は、社会や経済のあちらこちらで実感でき、各種ブルーカラー労働者の生活は一変した。
政治学者エカテリーナ・クルバンガリーヴァはいくつか例を挙げている。たとえば、織工の月収は2021年12月時点で250ドルから350ドルだったが、いまや月1400ドルだ。長距離トラック運転手の平均収入は、前年比で38%増えた。
加えて、西側諸国の制裁とロシア政府による資本統制の影響で、富裕層の資金が国内にとどまっているため、ラグジュアリー分野が好調だ。歴史的文化都市として知られるモスクワとサンクトペテルブルクはいま、にわか景気に湧く現代の新興都市という様相を呈している。
政治学者エカテリーナ・クルバンガリーヴァはいくつか例を挙げている。たとえば、織工の月収は2021年12月時点で250ドルから350ドルだったが、いまや月1400ドルだ。長距離トラック運転手の平均収入は、前年比で38%増えた。
加えて、西側諸国の制裁とロシア政府による資本統制の影響で、富裕層の資金が国内にとどまっているため、ラグジュアリー分野が好調だ。歴史的文化都市として知られるモスクワとサンクトペテルブルクはいま、にわか景気に湧く現代の新興都市という様相を呈している。
「世界最高」のモスクワとなった理由
モスクワ在住の夫婦は、自宅がある高級マンションの前を通る高級車の台数を数えている。隣人は、ペットのライオンが写っている写真を自慢げに見せてくるそうだ。(中略)
ロシアのある企業トップは本紙に対し、「(ウクライナ侵攻が始まった)2022年2月以降にロシアを出国した知り合いはほぼすべて、帰国した人も旅行中の人も、モスクワは世界最高だと絶賛しています」と述べた。
多くのロシア人が、家計は上向いていると感じている。家計について「良い」と回答したロシア人は13%を超え、ロシア連邦統計局によれば、1999年の統計開始以来、最高となった。また、「悪い」あるいは「非常に悪い」と回答した割合は史上最低で、それぞれ約14%と1%だった。
そこで気になるのが、この狂騒はいつまで続くのか。そして、どのような結末が待っているのか、ということだ。
エコノミストは、この好況を主に支えているのは政府支出だと指摘する。直接の支出先は防衛産業だが、農業やインフラ、不動産市場など他セクター支援を通じても間接的に資金が投じられている。(中略)
多くのロシア人が、家計は上向いていると感じている。家計について「良い」と回答したロシア人は13%を超え、ロシア連邦統計局によれば、1999年の統計開始以来、最高となった。また、「悪い」あるいは「非常に悪い」と回答した割合は史上最低で、それぞれ約14%と1%だった。
そこで気になるのが、この狂騒はいつまで続くのか。そして、どのような結末が待っているのか、ということだ。
エコノミストは、この好況を主に支えているのは政府支出だと指摘する。直接の支出先は防衛産業だが、農業やインフラ、不動産市場など他セクター支援を通じても間接的に資金が投じられている。(中略)
「数字だけ見れば、ロシアのマクロ経済政策はバランスを完全に欠いています」。フィンランド銀行新興経済研究所のイッカ・コルホネン所長はそう話す。
「この一大消費ブームがほかの経済セクターに波及していることを物語っています」とコルホネン所長は述べ、物価が上昇していると指摘する。「これまでのところ、インフレ率を抑制できておらず、政府と中央銀行にとっては悩みのタネとなっています」
差し当たっては、ロシアの消費者が新たに手にした富によって、国内の経済と社会そのものが新しい方向へと発展しつつある。
政治学者クルバンガリーヴァによれば、所得がもっとも大きく変化した層は、軍関係者とブルーカラー、およびグレーカラーの労働者だ。宅配業者の現在の収入は月20万ルーブル(約31万円)で、国内の一流科学者で構成されるロシア科学アカデミーの会員と肩を並べている。
「ロシア国民の収入はアップしています」。カーネギー国際平和財団ロシアユーラシア・センター研究員のアレクサンドラ・プロコペンコはそう話す。「そこでロシア人はどうしているのかというと、お金を湯水のように使い、国内需要を生み出しています」(中略)
「ロシア国民の収入はアップしています」。カーネギー国際平和財団ロシアユーラシア・センター研究員のアレクサンドラ・プロコペンコはそう話す。「そこでロシア人はどうしているのかというと、お金を湯水のように使い、国内需要を生み出しています」(中略)
バブルが起きたカラクリ
ウクライナ戦争勃発時、ロシアで個人消費ブームが起きるなどとは、予想すらされていなかった。ドイツ国際安全保障研究所(SWP)のクルーゲは、「2年前はまったく異なる状況を描いていました。基本的には、輸出が立ち行かなくなり、失業者があふれ、ロシアの景気は悪化すると見込んでいたのです」と話す。ところが、いまは「まったく異なるシナリオ」が進行中だ。
ウクライナ侵攻の直後、ロシア中央銀行はいわゆる「金融要塞」を築くべく、政策金利をすぐさま9.5%から20%に引き上げ、資本規制を導入。しかし、ロシアの輸出は予想以上に持ちこたえ、制裁対象となっている財の大半を第3国から並行輸入して確保することに成功した。
フィンランド銀行新興経済研究所のコルホネンによれば、ロシアは2022年秋までに大幅な軍事調達の手はずを整えたという。「以降、それを原動力に経済を動かしてきました」
ウクライナ侵攻前年の2021年に比べ、政府支出は20%増加し、ロシア経済における政府支出の割合は推定で50%から70%に達している。6月の報道によれば、ロシア中央銀行は政府支出がGDP成長の主な原動力であることを認めたようだ。
ウクライナ侵攻の直後、ロシア中央銀行はいわゆる「金融要塞」を築くべく、政策金利をすぐさま9.5%から20%に引き上げ、資本規制を導入。しかし、ロシアの輸出は予想以上に持ちこたえ、制裁対象となっている財の大半を第3国から並行輸入して確保することに成功した。
フィンランド銀行新興経済研究所のコルホネンによれば、ロシアは2022年秋までに大幅な軍事調達の手はずを整えたという。「以降、それを原動力に経済を動かしてきました」
ウクライナ侵攻前年の2021年に比べ、政府支出は20%増加し、ロシア経済における政府支出の割合は推定で50%から70%に達している。6月の報道によれば、ロシア中央銀行は政府支出がGDP成長の主な原動力であることを認めたようだ。
戦争関連の支出(機械製造や前線兵士用衣類の生産、燃料生産、ウクライナ戦争で戦う兵士ならびに死亡した兵士への支払いなど)は大幅に増加し、ウクライナ侵攻前はおよそ23%だったが、現在は40%近い。(中略)
バブル後の懸念
バブル後の懸念
中央銀行が記録的水準まで金利を引き上げても、消費ブームを抑制できなかった。それはつまり、いまでは経済が政府支出に大きく左右されている証しだと、ほかのエコノミストは指摘する。(中略)
前述した元政府高官も同様に、中央銀行による従来型の金融措置はもはや、以前のような効果を発揮しないと考えている。「中央銀行は金融の要塞を構築しました。経済ははるかに粘り強いのですが、中央銀行が手を打っても反応していません」
こうした状況は変わりつつあるのかもしれない。証券会社のフィナムはすでに、消費活動の減速を予測しているとベレンカヤは言う。賃金上昇の鈍化が予測され、金融引き締めが続いているためだ。
前述した元政府高官も同様に、中央銀行による従来型の金融措置はもはや、以前のような効果を発揮しないと考えている。「中央銀行は金融の要塞を構築しました。経済ははるかに粘り強いのですが、中央銀行が手を打っても反応していません」
こうした状況は変わりつつあるのかもしれない。証券会社のフィナムはすでに、消費活動の減速を予測しているとベレンカヤは言う。賃金上昇の鈍化が予測され、金融引き締めが続いているためだ。
「実質賃金がこのまま上昇を続けるとは思いません」と、フィンランドのコルホネンは言う。「2024年は、生産の伸び率が低下しはじめるでしょう。何しろ、人材が足りていません」
サンクトペテルブルクでレストランを経営するアントンは、人手不足をひしひしと感じている。「驚くほど人手が足りないのです」とアントンは吐露する。「シェフもウェイターもバーテンダーもいません。みんな出国してしまってどうしようもないのです。サービス業界では多くの人が去っていきました」
労働者不足は深刻化している。ロシア第1副首相デニス・マントゥロフによると、防衛部門では、ここ1年半で民間職から50万人を引き抜いたにもかかわらず、専門性の高い人材が約16万人不足しているという。ロシア労働社会保障省の予測では、2030年までに240万人の労働者が不足する。
ロシアはゆくゆく、イランと同じ道をたどる可能性がある。つまり「資金が国内に滞った結果、不動産価格が異常に高騰し、株価が過剰に上昇し、生活の質が低下する」ことになるかもしれないと、ロシアの企業トップは話す。
ロシア経済の問題は、大きな不確定要素として戦争を抱えていることだと、ロシアユーラシア・センター研究員プロコペンコは言う。「経済全体が、前線の状況によって大きく左右されるようになっているのです」【COURRIER Japon】
サンクトペテルブルクでレストランを経営するアントンは、人手不足をひしひしと感じている。「驚くほど人手が足りないのです」とアントンは吐露する。「シェフもウェイターもバーテンダーもいません。みんな出国してしまってどうしようもないのです。サービス業界では多くの人が去っていきました」
労働者不足は深刻化している。ロシア第1副首相デニス・マントゥロフによると、防衛部門では、ここ1年半で民間職から50万人を引き抜いたにもかかわらず、専門性の高い人材が約16万人不足しているという。ロシア労働社会保障省の予測では、2030年までに240万人の労働者が不足する。
ロシアはゆくゆく、イランと同じ道をたどる可能性がある。つまり「資金が国内に滞った結果、不動産価格が異常に高騰し、株価が過剰に上昇し、生活の質が低下する」ことになるかもしれないと、ロシアの企業トップは話す。
ロシア経済の問題は、大きな不確定要素として戦争を抱えていることだと、ロシアユーラシア・センター研究員プロコペンコは言う。「経済全体が、前線の状況によって大きく左右されるようになっているのです」【COURRIER Japon】
**************************
【長期的にも労働力不足 「国家の発展のためには移民が必要」(大統領府報道官)】
ロシアは人口減少を止めるべく“「子ども持たない主義」宣伝禁止”なども行っていますが、目下の人手不足をとりあえず埋める手段となると「移民」でしょう。ロシアでは従来から中央アジアからの移民労働に頼ってきています。
****ロシア、労働力不足補う「移民必要」****
ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は22日公開のインタビューで、国内の労働人口が減少しているため、国家の発展のためには移民が必要との考えを示した。
ペスコフ氏は国営ロシア通信に対し、「移民が必要だ」「わが国の人口動態は逼迫(ひっぱく)している。われわれは世界最大の国に住んでいるが、人口はそれほど多くない」と述べた。
ロシア議会は今週、「子なしプロパガンダ」を禁止する法案を可決。個人や団体が他者に対し、子どもを持たないのを奨励することを事実上禁止した。
ソ連時代から続き、ウクライナ紛争以降、さらに悪化している人口危機の解消が狙い。
ペスコフ氏は「ダイナミックな発展を遂げ、すべての開発プロジェクトを実行するには労働力が必要だ」として、ロシア当局は移民を歓迎していると強調した。
だが、ロシアでは反移民感情が根強く、経済の主要部門を担う中央アジアの旧ソ連構成国出身の出稼ぎ労働者が主な標的とされている。
大統領府は7月、人口減少が「国の将来にとって大惨事」であることを認めた。
ウラジーミル・プーチン政権は大家族を対象に多額の給付金や住宅ローン補助金を給付するなどの対策を取っているが、人口は旧ソ連時代以降、回復していない。
最近の人口問題には、低出生率、新型コロナウイルスによる超過死亡に加え、数十万人の男性がウクライナ侵攻への動員を逃れて出国したことが挙げられる。
報道機関RBCが引用したロシア連邦統計局の推計によると、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は2023年は1.41で、人口を維持するのに必要な2.0を大幅に下回った。
統計局によれば、今年1〜9月の出生数は、前年同期比3.4%減の92万200人だった。ロシアメディアは、1990年代以降で最低だと報じている。 【11月23日 AFP】
*************************