孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

韓国  出生率0.72で「地球上で真っ先に消え去る国」に改めて“衝撃”

2024-03-05 23:06:19 | 人口問題

(【2月29日 西日本】)

【「地球上で真っ先に消え去る国」】
日本を含めて東アジア世界は深刻な少子化が進行していますが、その中でもトップを走るのが韓国で、最近の(人口を維持するためには、おおむね2.07を保つ必要があるとされる)合計特殊出生率は0.7程度・・・という話は、これまでも再三取り上げてきました。

ですから、23年の0.72という数値については驚きでも何でもなく予想されていたものではありますが、それでも改めて公式発表されると大きな衝撃があります。

****韓国出生率、23年は0.72で過去最低更新 ソウルは0.55****
韓国統計庁は28日、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率が2023年に0.72だったと発表した。既に世界最低水準だった22年の0.78から低下し、過去最低を更新した。

人口が4年連続で減少する中、政府は少子化対策に多額の資金を投入してきたが効果は出ていない。

出生率が1を下回るのは経済協力開発機構(OECD)加盟国で韓国のみ。

韓国の主要政党は4月の選挙を前に、人口減少に歯止めをかけるため、公営住宅増設や融資緩和を公約に掲げている。

韓国では子どもは結婚してから持つものという考えが一般的だが、主に経済的負担が大きいことから結婚も減少している。

出生率は首都ソウルが0.55で最も低かった。

韓国は24年の出生率が0.68にさらに低下すると予想している。

日本は22年に過去最低の1.26を記録。中国も過去最低の1.09を付けている。【2月28日 ロイター】
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昨年10〜12月期は0.65・・・今後、更に低下しそうです。

韓国については、以前にイギリスのオックスフォード人口問題研究所が「地球上で真っ先に消え去る国は韓国」と指摘したこともありますが、(あくまでも単純計算の話ですが)このままでは半世紀後には現在の人口(5167万人)が約30%減少し、1000年ほどたてば韓国の人口は消滅する・・・というレベルの数値です。

【出産願望・結婚願望の低下 背景に価値観の変化や住宅・子育ての経済事情】
こうした状況の要因の一つが、女性の出産願望の低下です。更には結婚願望も低下しています。

****韓国の出生率低下問題、働く女性の60%以上が「産みたくない」の理由****
(中略)
こうした状況には多くの要因があるが、その内の1つに女性の出産願望の低下があげられる。
2月27日、『韓国経済新聞』が経済活動をする25〜45歳女性1000人を対象にしたオンラインアンケート(2月5〜20日)の調査・分析結果を発表した。これによると、回答者の62.2%が「これから子供を出産するつもりはない」と答えたことがわかった。

細かく分類すると、未婚女性は66.6%が、既婚女性は59.2%が「出産の意思がない」とのこと。さらに、未婚女性の55%は結婚願望自体がないことが判明したのだ。

その理由としては、「子育てに拘束されたくないから」「経済的に余裕がない」「やりたいことの障害になる」などがあがっている。

女性の社会進出はすばらしいことだが、産休や育児補助制度を充実させなかった結果、「結婚も出産もしたくない」という女性の増加に繋がっているのだろうか…。

こうした疑問に、韓国国内では「産休して無事に会社に戻れる補償がない」「達成感を覚えながらお金を稼ぐのに、子供を産んだらリセットになるので当然だ」「非婚・非出産を主張する女性を韓国男性は強く否定する。人工子宮でも開発してください」など、出生率の低下を“働く女性”のせいにするなという意見が多く上がった。

結婚・出産・仕事。すべてを納得させられる答えを政府は準備しなければならない。【3月3日 サーチコリア】
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長時間労働などによる子育てと仕事の両立の難しさや、子育ての負担の女性への偏りなどは日本でも散々指摘されていることです。

昨年8月の韓国統計庁の調査によれば、結婚に対し「肯定的」な認識を持つ割合は22年時点で36・4%に過ぎないとのことで、「非婚主義」という価値観も広がっています。その背景には、自分の幸福を追求する「ミーイズム」と呼ばれる傾向も。

こうした出産願望・結婚願望の低下の背景には、女性に偏る負担に加えて、昨今の経済事情があるというのは常々指摘されています。住宅は若者の手が届きにくい価格に高騰し、子育てに巨額の資金がかかる・・・

****韓国で“ペットカー”の販売量が“ベビーカー”の販売量を上回ったとのデータも… 出生率過去最低「0.72」の背景に「塾ぐるぐる」と「ミーイズム」?****
去年の出生率が0.72と過去最低を更新し、少子化に歯止めがかからない韓国。その背景を象徴するのが二つの言葉、「塾ぐるぐる」と「ミーイズム」です。

ソウルの散歩道。多くの人が引いていたのは最近、人気となっているペットを乗せたペットカーです。韓国ではペットカーの販売量が、ベビーカーの販売量を上回ったことを示すデータもあります。

「若い人たちは子供を産んで苦労するよりも、犬や猫を育てて楽しく暮らそうという人が増えている」

きのう発表された韓国の去年の合計特殊出生率は「0.72」と過去最低を更新。少子化が進む日本をも大きく下回る水準です。なぜここまで低くなったのか。

「韓国は最低賃金も高くないし、就職も難しい。こんな環境で異性と結婚して子供を持つことができるのか疑問です」

子育てをしづらくする要因の一つが“過酷な競争”。「塾ぐるぐる」と呼ばれるように、受験や就職を勝ち抜くために塾や習い事をいくつも掛け持ちする子供たちが大勢いるのです。親の経済的な負担も大きく、不動産の高騰などで苦しい生活に追い打ちをかけています。

また、専門家は自分の幸福を追求する「ミーイズム」と呼ばれる傾向が広がっていることも背景にあると指摘します。

インハ大学 イウンヒ教授
「若い世代を中心にミーイズムと言って、自分をとても大切に思っています。自分が犠牲になって子供を産んで苦しむよりは、自分が幸せに生きることがもっと重要だと考えるのです」

人口減少による「国家消滅」の危機も指摘されるほどで、少子化対策がいっそう喫緊の課題となっています。【2月29日 TBS NEWS DIG】
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【韓国政府も対応はしてきたものの効果なし】
韓国政府もこれまで、保育所を増やしたり、無償保育や育児休業制度を広げたりといった「少子化対策」を進めてきましたが、出産願望・結婚願望の低下という大きな流れを変えることは出来ず、出生率の低下に歯止めをかけられていません。

****田中秀臣 韓国の「人口消滅」危機 先進国で断トツの〝超々低出生率〟背景に経済不安と歴代政権の失敗 日本にとっては他山の石****
(中略)もちろん人口が減少していても、直接に経済や社会の停滞とイコールではない。景気が良く、1人当たりの所得水準や幸福感が増していればいい。要するに経済対策が少子化の経済を救う。

ところが韓国ではこの経済対策がうまくいっていない。いまから10年前の合計特殊出生率はまだ1・19あった。それが0・72まで急減少した背景には、若い世代の経済不安と歴代政権の少子化対策の失敗がある。

経済不安の象徴は、若い世代の失業率だ。韓国の場合は、通常の失業率では測れない「本当の失業」をみる必要がある。日本でも長期停滞が深刻だったときは、働きたいけれども景気が悪くて働くのを断念した人たちが多かった。「求職意欲喪失者」ともいわれる。

この人たちを含めた「拡張失業率」では、若い世代は20%前後と極めて高い。ちなみに中国は50%近いが、これを公の場で発言することも取り締まりの対象だ。韓国の若い世代の経済不安が、結婚や育児を断念させる直接の原因である。

韓国の歴代政権は若い世代の雇用の改善を目指したが、少子化にストップをかけるほどの効果はなかった。
また少子化対策自体も失敗した。少子化対策が本格化してから日本円で28兆円以上の金額が使われたが、効果は無に等しい。

もちろん韓国の少子化対策の失敗は、日本にとって他山の石でもある。日本の少子化対策の予算規模は、この10年で倍増したが少子化に歯止めはかかっていない。少子化対策の効果の検証もおざなりだ。

そもそも日本は高齢層に経済的支援が厚く、その負担を若い世代が負っている。岸田文雄政権の「異次元の少子化対策」も、働いている世代に負担を強いるものだ。

本来なら年金や医療費などの過剰な増加を抑制し、若い世代の負担を軽くするのがベストだ。もちろん「子育て国債」を発行して、同時に減税も合わせる景気対策もいいだろう。この政治的決断がなければ、少子化の勢いは簡単には止まらない。 【3月5日 夕刊フジ】
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政府は更に取組を強化するとは言っていますが・・・(日本同様)あまり期待はされていないよう。

****韓国の出生率が0.65で過去最低、政府は少子化対策の全面見直しを宣言もネットには「見当違い」の声****
2024年2月29日、韓国・ハンギョレによると、韓国の昨年10〜12月期の合計特殊出生率が0.65で過去最低を記録した中、少子高齢化社会委員会のチュ・ヒョンファン副委員長が28日のインタビューで「これまでの少子化政策は実効性に乏しいとの指摘を受けているため、需要者の立場から全面的に見直す必要がある」とし、「政府省庁と全地方自治体に対し、今月末までに少子化対策の現状について報告するよう要請している」と明らかにした。

記事によると、同委員会は政府の5年単位の「少子高齢化社会基本計画」を審議・確定する人口政策コントロールタワー。チュ副委員長は「全面的に再検討することでこれまでのデパート式(問題解決のためにあらゆる雑多な政策をかき集めた政府の政策を批判する際に使われる表現)の漸進的対策ではなく、実効性のある対策を集中的に迅速に推進していく」と説明した。

韓国政府は同委員会を中心に育児負担の緩和策、家庭と仕事の両立政策、経歴断絶女性(結婚や出産、育児などを理由に仕事を辞めた女性のこと)問題の解決策を打ち出し、段階的に発表する計画。

チュ副委員長は「少子化問題には複合的アプローチが必要だが、『少しずつ』では効果が出ない」とし、「良い職場環境をつくることが最も重要であり、それに並行して未婚者に結婚への意欲を持たせ、出産や育児の負担を一つ一つ改善することが望ましい」と強調したという。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「今さら?」「2年間何をしていたのか。今になって再検討とは」「再検討すると発表するのではなく、再検討した後に『こうします』と発表してほしい」などと指摘する声が上がった。

そのほか、「養育費と私教育費が問題であることに気づいていないの?気づかないふりをしているの?」「職場環境が問題?とんだ見当違いだ。国民は全員、不動産が問題だと分かっている。子どもを育てるのに必要なのは衣食住の安定。今は着るものにも食べるものにも困らないが、住まいに不安があるから子どもを産めない」「良い職場づくりより住居環境を優先するべき」「まずは日に日に上昇する住宅価格と物価を安定させ、それから少子化対策を立ててほしい」などの声が寄せられた。【2月29日 レコードチャイナ】
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【移民政策を推進する保守政権】
やや意外だったのは、少子化による人口減少に対し、保守の尹錫悦政権も移民を推進する立場を明確にしていることです。韓国は日本以上に外国人への抵抗感が大きい国と思っていましたが。それに伊政権はいわゆる保守政権ですし・・・それだけ危機感が強いということでしょう。

****韓国、外国人街を除けば「地方消滅」危機 保守与党も移民推進を加速 出生率0・72の移民国家****
韓国南西部・光州(クァンジュ)市の光山(クァンサン)区は、ロシアによるウクライナ侵略に伴い、朝鮮半島にルーツを持つ「高麗人」のウクライナ住民らが避難先に選んだことで知られる。青少年文化センターを訪ねると、容姿は韓国人と変わらない10人あまりの小学生が、韓国語の授業を受けている最中だった。(中略)

19世紀後半に朝鮮半島を離れ、ロシアを経て中央アジアに移住した人々の子孫は高麗人と呼ばれる。2000年代初頭、韓国の経済発展に伴い「帰国」した高麗人で形成されたのが、光山区の「高麗人村」だった。

首都圏などへの人口流出で空き家が目立った住宅街に3〜4世帯が入居したのに始まり、現在は光山区に住む高麗人が約4800人を記録。高麗人に続いて他の外国人も相次いで流入し、住民登録分だけで1万4千人に達する。

周辺にはロシアやトルコ、中国など各国の飲食店が立ち並び、ゴミ捨て場には韓国語、ロシア語、ベトナム語の注意書きが掲示されている。

「若者活気」唯一の街
韓国ではソウル首都圏への人口一極集中が続く。逆に光州市を含む全羅南道地域では約半世紀の間に人口が393万人から180万人まで半減した。道移民政策課長の劉永珉(ユ・ヨンミン)は「少子高齢化に人口流出問題が加わり、地域社会の深刻さはソウルと比較にならない」と強調する。

そんな中、若者が存在感を示す稀有(けう)な地域が高麗人村のある光山区だ。昨年10月に発表された「地方消滅」の危険性を測る指標では、出産の中心となる20〜39歳の女性数が65歳以上の高齢者数を唯一上回る自治体となった。

15年前から周辺でアパート経営を続ける金正基(キム・ジョンギ)=(77)=の所有物件には、10部屋のうち9部屋で外国人が暮らしている。「若者の活気ある地域経済は、韓国人だけでは全く成り立たない」。金はそう断言する。

外国人拒否感に違い
韓国法務省の統計によると、韓国の在留外国人は2023年、前年比で11・7%増加し、新型コロナウイルス禍以前の250万人を回復。人口全体に占める外国人の割合は4・9%で、過去最高を記録した。
これに対し、日本では国内の在留外国人数が昨年過去最高を更新したが、比率では2・5%にとどまっている。

日韓の移民流入速度の違いには、外国人に対する拒否感の大きさも影響したとみられる。74カ国で実施された「世界価値観調査」(17〜22年)では、「移民や外国人労働者は隣人になってほしくない」との回答(平均21・3%)が、日本の29・1%に対し、韓国は22・0%にとどまった。

日韓の移民政策に詳しい大阪経済法科大アジア太平洋研究センターの宣元錫(ソン・ウォンソク)は「1990年代以降、両国は同じように労働力不足の状況にあったが、日本は世論への配慮から『発展途上国に対する国際貢献』を掲げて技能実習生を受け入れる形を取り、公には移民を認めなかった」と指摘。

一方、韓国は「当初は日本をモデルとした実習生制度を導入したが、(受け入れがスムーズに進まず)2004年以降は『積極的な移民許容』に転じ、流入が活発化した」と解説する。

総選挙次第で移民加速
移民問題の専門家らが「予測していなかった」と口をそろえるのが、保守系で移民政策に後ろ向きとみられていた尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権下での移民推進の加速だ。政府は昨年12月、「出入国·移民管理庁」(移民庁)の新設を柱とした5カ年計画を発表。ビザ発給の大幅な拡大などを進める。

移民関連の学会関係者は「大統領選当時は尹氏陣営に移民政策の質問状を送っても無回答だった」と振り返るが、尹政権発足に伴い法相に就任した韓東勲(ハン・ドンフン)は、就任当日から移民庁設立の検討を表明。「移民政策で完璧に成功した国は地球上にないが、今後体系的な移民政策なしに国家運営に成功できる国もない」などと、移民受け入れの意義を強調してきた。

法相から与党「国民の力」トップに転じた韓が指揮を執る4月の総選挙で勝利を収め、同党が国会運営で主導権を握れば、韓国の移民政策は一気に加速度を増す見通しだ。
しかし、急速な移民流入の拡大は、地域社会にさまざまな影を落とし始めている。=敬称略【3月5日 産経】
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移民の流入が社会にさまざまな影を落とすことは事実でしょうが、(賢明な対応とともに)社会の活力が維持されれば対応も可能です。
一方、無策のまま人口が減り、社会の活力も失われていく状況では、すべての問題は悪化するばかりです。

コメント (2)
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