今月14日、カンボジアのフン・セン首相が来日して安倍首相と会見し、カンボジアの民主化推進や投資環境の整備に向けた協力を柱とする「新たなパートナーシップに関する共同声明」に署名したそうです。
また、プノンペン市内の防災計画や人材育成計画に関し、約30億円の無償資金協力を行うことで合意したと報道されています。
この記事で一番印象に残ったのは「フン・セン首相の訪日は今回で15回目だが、公賓としての招へいは初めて。」という部分でした。
フン・セン首相がいつから来日しているのか知りませんが、彼が首相になったのが93年ですから、それからだとするとほぼ毎年のように来日していたことになります。
それだけの必要性・メリットがカンボジア側にあるのでしょう。
また、「安倍首相は会談で、カンボジアが旧ポル・ポト派による虐殺を検証する特別法廷を設置したことを歓迎。」とのこと。
この“ようやく動き始めた”特別法廷については、運営予算5600万ドルのうち2160万ドルを日本が拠出しているそうです。
先日のスリランカに対する2国間資金援助の3分の2を日本が占めていることといい、あらためてアジア世界における日本のプレゼンスを感じました。
普段日本人は殆ど意識することはありませんが、自分の国を運営することさえままならないアジア各国のなかで、相当額の援助が可能なのは日本しかなかったということでしょう。(最近の中国の動向は知りませんが。)
ただ、国民もあまり意識しないなかで資金援助だけがなされている実態は、なにかスッキリしないものを感じます。
今回フン・セン首相は「北朝鮮問題では、国連総会で過去2年間棄権した北朝鮮の人権状況非難決議に関し、賛成に転じる考えを示した。」そうですが、“援助に見合った国益を実現しろ”といった類のことを言いたいのではありません。
資金援助が結局日本大企業の現地事業で還流し・・・云々という話でもありません。
何か、“お金は払うけども、それ以上は関知しない”といった近隣諸国に対する“無関心”が透けて見えるような気がするのです。
もちろん、お金をもらう側はそれでもいいのでしょうが・・・。
援助する日本側の問題として、単にお金を出して済ませるのではなく、国民全体がそのような援助を必要としている国々の実情に対してきちんと目を向ける、必要なら人的に援助する・・・そういった取組みを促していくことが重要なのではないかと思います。
いまどき流行らない青臭い物の言い様ですが、そういった“外に目を向ける姿勢”が日本人自身の意識を変え、国内諸問題への対応にも影響するのでは、また、外に対しては近隣諸国との絆を強めることで日本の将来に貢献するのでは・・・。
人口700万人のうち150万人(!)の自国民を殺したとも言われるポル・ポトやクメール・ルージュの虐殺の話、その罪を裁く特別法廷の話はまた別の機会で。
写真は2002年の暮れから翌年正月にかけてカンボジアを観光した際のもの。
アンコールワット観光で賑わうシェムリアップ。
将来のアプサラダンスのダンサーを目指し練習する若者達。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます