テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

博士の背中。

2010-12-21 23:27:38 | ブックス
「げッしょくゥ!
 ネーさッ! テディちゃ、げッしょくみたいィでスゥ!」
「ぐるるがるるるっ!」(←訳:ボクも見てみたいよ~)

 残念なことに、ここ東京・多摩地方の今日午後のお天気は小雨模様……
 皆既月食を見ることは出来ませんでした。
 次のチャンスは、2011年12月10日だそうですわ。
 こんにちは、来年は!と意気込むネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるる!」(←訳:虎です!)

 お月さまが欠けてゆく幻想的な映像をTVニュースで拝見した後は、
 読書タイムにも幻想のエッセンスを!
 本日ご紹介いたしますのは、はい、こちら~!


   


 
                 ―― エステルハージ博士の事件簿 ――



 著者はアヴラム・デイヴィッドスンさん、原著は1975年に、
 画像の日本版単行本は’10年11月に発行されました。
 英原題は『THE ENQUIRIES OF DOCTOR ESZTERHAZY』。
 1976年度の世界幻想文学大賞の短篇集・アンソロジー部門を受賞した作品です!
 
「じけんぼゥ!
 きッとォ、みすてりィでスねッ!」
「がるるる~ぐるる~がる?」(←訳:でも~幻想文学って~?)

 ええ、そこがね、ややこしいところなんですのよ。
 事件簿というからには、
 事件があって探偵さんやワトスンさん役の御方がいて調査や解決があって……
 といった展開なんだろうなぁと期待していると、
 あらっ?と肩すかしを喰らっちゃいます。
 でも、ミステリアスな要素が無いわけでもないんです。

 エンゲルベルト・エステルハージ博士。
 この御本の主人公であるエステルハージ博士は、
 んもう物凄い学者さん!
 法学博士にして医学博士、
 哲学博士であり文学博士、
 理学博士でもあって、ほかにも博士号を持っているという
 博覧強記の御方です。

「すごッ! すーぱーがくしゃさんッ!」
「がるるる~る…」(←訳:万能のひとだ~…)

 では、ヴィクトリア朝と思しき時代を背景に、
 エステルハージ博士が活躍するお国は、どこでしょう?
 英国? フランス? 合衆国?
 
「みすてりならァ、いぎりすゥかなッ?」
「がるぐるる?」(←訳フランスかも?)

 それがね、答えは……はいっ、息をスハーっと整えて、
 行きますよ~!

 スキタイ=パンノニア=トランスバルカニア三重帝国!
 首都は、ベラ!
 
 ああ、長い名前のお国ですわね~、ふぅ~。

「きいたことォ、ないィでスゥ?」
「がるるるっ?」(←訳:どこだろっ?)

 その王国があるのは、バルカン半島の北方、でしょうか。
 セルビアやブルガリア、トルコの北、
 オーストリア帝国やルーマニアよりは南に、
 スキタイ=パンノニア=トランスバルカニア三重帝国はありました。

 え? どうして現代にその王国の存在が伝えられていないのか、ですって?
 ええ、歴史には、ままある出来事なのですよ。
 何らかの理由で、
 或る国家の存在が完膚なきまでに粉砕され、
 跡形もなく消え失せてしまうことは……。

 かつて確かに存在した強大な帝国の首都には、
 大勢の人間が集う帝国の首都らしく、
 不思議な出来事もまた起こったものでした。
 奇怪な見世物の噂、
 急に真珠母貝が町の店に出回った謎、
 黄金の指輪と、
 不老不死の夢……。

「なんでもありィ?」
「がるがるがるぐるー!」(←訳:アラビアンナイトみたいー!)

 千夜一夜譚にも通じる、
 謎と、科学と、夢幻のものがたりは、
 私たち読み手を見たこともない遠くへ、
 けれど、どこかノスタルジックで郷愁をさそう遠くへ
 旅をさせてくれます。

 どうか活字マニアの皆さま、
 ジャンルにこだわらず、
 エステルハージ博士とともに、
 時の彼方の幻の帝国へ、
 楽しく旅をされますよう!

「いッてらッしゃいィませェ~♪」
「がるぐるる~がるるる~!」(←訳:遅くならないうちに帰ってきてね~!)
 
コメント
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