テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 夏の島 ―

2018-08-03 22:15:58 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふゥ~! ぱふぱふゥ!」
「がるる!ぐるぅ~…!」(←訳:虎です!はあぁ~…!)

 こんにちは、ネーさです。
 いや、アカンです。
 暑すぎてお祭りに行けません(涙)
 なので、しょんぼり、家で読書……と思ったら!
 しょんぼりを吹き飛ばす強力な御本に出会いましたよ♫
 さあ、本日は張り切って、こちらの小説作品を、どうぞ~!

  



            ―― 宝島 ――



 著者は真藤順丈(しんどう・じゅんじょう)さん、
 2018年6月に発行されました。
 『HERO'S ISLAND』と英語題名が付されています。

「たからじまァ、ッてェ~?」
「ぐるるがるる?」(←訳:海賊の宝の島?)

 そうですね、『宝島』という表題を目にすれば、
 多くの方々はR・L・スティーヴンソンさんの
 『宝島』を想いうかべることでしょう。
 隠された莫大な財宝を探し求める海賊シルヴァー、
 ジム少年の冒険……
 
 この御本には、海賊の遺した財宝は出てきませんけれど、
 財宝に匹敵する、いえ、金銀財宝をも上回る、
 或る“モノ”が登場します。

 その“モノ”とは――

 島。

「あおいィ~うみィとォ~」
「がるる!」(←訳:風の島!)

 島は、しかし、そのとき、
 最悪とも言える状況にありました。

 米軍による占領下。

 父祖の土地は否応もなく接収され、
 軍事基地に変えられ、
 頭上を戦闘機が飛び交う――

 第二次世界大戦後の沖縄は、
 琉球王朝のものでも
 日本のものでもなく、
 米国のもの、にされていたんです。

「いきぐるしいィ~!」
「ぐるるるぅ!」(←訳:つらいよぅ!)

 しかし、
 やり切れないような息苦しさを、
 軽々と打ち破ってみせる一団も、
 その島には居たのでした。

 戦果アギヤー――
 “戦果をあげる”という意味の名で呼ばれる彼らは、
 てっとり早く言うならば、
 泥棒です。

「えッ? どろッ?」
「がるっるぐるがるるる?」(←訳:泥棒って何をどこから?)

 どこから?

 それは、米軍基地から。

 何を?

 それは、ありとあらゆるものを。

 医薬品や包帯は、病んだおじいやおばあのために。
 食料や衣服や毛布は、
 子沢山の貧乏所帯に。
 木材で小学校の校舎を作り。
 ときには銃器や照明弾なんてものまで、
 基地から盗んできちゃうのです。

 生まれついてのリーダー格の、オンちゃん。
 オンちゃんの弟のレイ、
 オンちゃんの親友グスク、
 オンちゃんの恋人ヤマコ。

 数ある戦果アギヤーの中でも、
 オンちゃんを中心としたグループは、
 飛ぶ鳥を落とす勢いで“戦果”を挙げ続けていましたが。

 或る夜、
 何かが狂いました。

「とりかこまれるゥ!」
「ぐっるるる!」(←訳:追ってくる!)

 何かが上手くゆかなかった……

 その日から、戦果アギヤーは
 運命の荒波をドスンと被ることになりました。

 オンちゃんは、
 レイは、グスクは、ヤマコは、
 米軍が支配する返還前夜の、
 そして返還直後の沖縄で
 どう生きてゆくのか――

「ぶんしょうゥ、すばらしすぎィまス!」
「がるるぐるがる!」(←訳:怒涛の展開だよ!)

 この夏、読むべき一冊。

 著者・真藤さんに拍手を贈りつつ、
 全活字マニアの皆さま、
 夏休みの読書タイムに、ぜひ!!
 
  
 
コメント
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