テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

歌麿さんの、もうひとつの顔。

2018-08-21 22:14:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 けッしょうせんまでェ、よくがんばッたのでス!」
「がるる!ぐるるがるるるる!」(←訳:虎です!皆さんお疲れさま!)

 こんにちは、ネーさです。
 あまり野球は見ない私ですが、
 今日はね、農業高校の野球部員さんたちに、
 いえ、夏も冬も頑張り切った学生さんたちに
 拍手を送りたくなりましたよ。
 それにマネージャーさんや、試合を運営するスタッフさんたちも、
 お疲れさまでしたー!
 激闘を終え、わずかなりと休養が取れそうな日には、
 さあ、体育会系の高校生さんも
 こちらの御本で読書タイムを、どうぞ~♪
 
  


 
 ―― 歌麿 《画本虫撰》《百千鳥狂歌合》《潮干のつと》 ――



 著者は菊池庸介(きくち・ようすけ)さん、
 2018年5月に発行されました。
 浮世絵師として知られる
 喜多川歌麿(きたがわ・うたまろ)さん(1753?~1806)の
 “もうひとつの顔”を明らかにするユニークなアート本です!
 
「これはァ、ほんとにィ~びッくりィ~♪」
「ぐるるがっるるぅ!」(←訳:予想外だったよぅ!)

 どんな画題にも、
 どんな企画にも意気軒昂と挑戦する
 畏れ知らずの画師さん――

 といえば、多くの方々が連想するのは
 画狂人・北斎さん、でしょうか。

「でもォ、ちがうゥのでス!」
「がるるるぐるー!」(←訳:ここにもいたー!)

 ええ、北斎さんだけじゃなかったんです。
 ここに、もうひとり、
 歌麿さんという、途轍もない画師さんがいました。

 喜多川歌麿さんの代表作とされるのは、
 《大首絵》と称される数々の美人画などの
 人物画なのですけれども、
 そもそも、歌麿さんの名を高めた契機となったのが、
 
  《画本虫撰(えほんむしえらみ)》

  《百千鳥狂歌合(ももちどりきょうかあわせ)》

  《潮干(しおひ)のつと》

 という、狂歌絵本三部作だったのでした。

「あはァ! かわいいィ~♪」
「ぐるる!」(←訳:細密だ!)

 虫たちを主人公とする《虫撰》、
 さまざまな鳥たちが描かれた《百千鳥》、
 そして貝類をテーマとする《潮干》――

 正統派の植物図譜とは
 やや趣きが異なるものの、
 制作当時はまだ若き新人だった歌麿さんの
 心構えがずっしり籠った細密画は、
 非常に鮮烈です。

 特に、この御本の本文36~37ページの
 蛇(ながむし)を題としたトカゲとヘビの画なんて
 リアリズムそのもの!

 かと思ったら一転、
 66ページには
 木兎(みゝづく)が樹にちょこんととまっている画があって、
 これは……トトロ?

「ととろだァ!」
「がっるる!」(←訳:そっくり!)

 猛禽類――ワシやタカの画っていうのは、
 大勢の画師さんたちが描いていますけど、
 こういった木兎、
 フクロウ(75ページ)って、
 狩野派の画師さんたちもあまり描いてないんじゃないかしら?

「とッてもォ~めずらしィかもッ!」
「ぐるっるる!」(←訳:稀少っぽい!)

 歌麿さんの描写力、
 高い技術と構成力、
 また、
 この三部作をプロデュースした版元・蔦谷重三郎さんの慧眼、
 作品の良さを見逃さなかった江戸のアートマニアさんたち、
 三者三様に、
 
  さすが!

 と感服するしかありませんが、
 出来れば、見てみたいものですね、
 美術館に所蔵されている本物の《虫撰》《百千鳥》を!

「えどじだいのォ、いんさつぎじゅつゥ!」
「がるるるぐる!」(←訳:拝見熱望です!)

 巻末の、
 編者・菊池さんによる
 狂歌絵本の歴史についての解説文も必読の一冊、
 アート好きさん、
 江戸文化マニアさんにおすすめですよ。
 本屋さんで、図書館で、
 皆さま、ぜひ手に取ってみてくださいな♪
 
 
 
コメント
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