テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 《顔》と、歩む旅路 ―

2018-08-16 22:07:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ながれぼしィ~みえませんでス!」
「がるる!ぐるるるがるるる!」(←訳:虎です!どこなのお星さま!)

 こんにちは、ネーさです。
 ペルセウス座流星群はいまがピーク!……の筈なのですが、
 ここ東京・多摩地域では曇りがちな夜が続き、
 流星の影も形もなくてガッカリ……していたところで、
 はい、素敵な一冊とめぐり会いましたよ♪
 本日の読書タイムは、読み手にパワーをチャージしてくれる
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  



         ―― 顔に魅せられた人生 ――



 著者は辻一弘(つじ・かずひろ)さん、構成は福原顕志(ふくはら・けんし)さん、
 2018年7月に発行されました。
 『特殊メイクから現代アートへ』と副題が付されています。

「あッ! このォおかたはァ~!」
「ぐるるーがるるる!」(←訳:オスカー受賞者の!)

 ええ、そうです、
 辻さんの御名前にピンと来なくても、
 今年2018年のアカデミー賞授賞式上、
 『Oscar goes to Darkest Hour!』の声とともに
 メイクアップ&ヘアスタイリング部門の受賞者となった辻一弘さん――

 この御本は、辻さんの半生記であり、
 人生観と、特殊メイク技術や
 ハリウッドへの思いについても語ったノンフィクション作品です。

「ちゃーちるゥさんのォ、めいくゥ!」
「がるるぐるっるるる!」(←訳:あれは凄かったよう!)

 日本での題名『ウィンストン・チャーチル』、
 英語原題は『Darkest Hour』。

 初めて映画のポスターや画像を目にしたときは、
 そりゃもうビックリしましたよね。

 俳優ゲイリー・オールドマンさんのお顔が、
 政治家ウィンストン・チャーチルさんの
 プクッとした特徴ある丸顔になってる?!?
 んまあ、やるもんだわ!
 え? メイクを担当したのは日本人ですって?
 おお! やるもんだー!!

 ……と、外野席の私たちが口にするのは
 簡単なことですけれど、
 当事者たる辻さんにとっては、
 簡単どころかひどく険しい茨の道、
 ときとしてまさにDarkestな、
 いくたびも苦い失望を味わったすえの、
 ようやくの快挙であり、成果でした。

「にほんにィ、うまれてェ~」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:アメリカでお仕事!)

 京都に生まれた辻さん、
 漠然と“何かを作る仕事に就きたい”と想い描いていましたが、
 高校に通っていた或る日、
 一枚の写真を雑誌に見つけます。

 役者さんが、リンカーン大統領になってる?

「ふァいッ! とくしゅめいくゥ、でスねッ!」
「がるるるるるぐるるがる!」(←訳:似てない顔を激似に加工!)

 そのリンカーンのメイクをしたのは、
 ディック・スミスさんという
 特殊メイク界の第一人者さんでした。

 感銘を受けた若き辻さんは、
 藁にもすがる思いで手紙を書きます。
 すると……

 なんと、お返事が!

「わほうゥ! うれしィ~♪」
「ぐるるがるぅる~♫」(←訳:小躍りしちゃう~♫)

 こうして、海を隔ててつながった一筋の糸。

 糸を頼りに、
 辻さんは学び、模索し、
 東京に住まいを移して映画や映像の仕事をした後、
 念願かなって米国で、
 ハリウッドでお仕事をする機会を得ます。

 日本で独自に開発し、持ち込んだ技術や手法は
 いまやハリウッドのスタンダードとなるほど、といいますから
 辻さんの能力がどれほど高みをゆくものなのか、
 とにかく感嘆するしかありませんが。

 映画の都ハリウッドは、
 Darkestな都でもあるようで。

「にんげんがァ~ふくざつゥ!」
「がるるるぐるるがるるる!」(←訳:役者さんたちもフクザツ!)

 功成り名遂げた……けれど。

 辻さんは映画界から離れ、
 現代アートの世界へ飛び込む決心をしました。
 アートの世界で、《顔》を造る。
 かつて魅了されたリンカーン大統領の顔を、
 こころも新たに、造ってみよう――

 その決意、情熱は報われ、
 現代アートの世界に迎え入れられた辻さんのもとに、
 2016年春、
 思いもよらぬことが起こります。

「むゥ??」
「ぐるっ?」

 俳優ゲイリー・オールドマンさんからの、連絡。

 その内容は―― もちろん!

「わううゥ! どきどきィ!」
「がるぐる!」(←訳:ワクワク!)

 長い、暗がりの中を往く、
 辻さんのひとり旅。

 いえ、俳優さんや、
 偉大なる師匠ディック・スミスさんとの二人三脚、
 誰かと手をたずさえながらの、
 それでもやはり、孤独な旅路。

 師ディックさんに捧げられたこの御本、
 映画好きさんにはもう絶対おすすめの労作です!
 活字マニアの皆さまも、
 どうか、ぜひ♪
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする