テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

クラシカル、かつ新鮮な短篇を。

2018-08-14 22:12:30 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わおッ♪ むしのォこえェ~きこえましたでス!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!秋到来かも!)

 こんにちは、ネーさです。
 今朝は秋の虫がリルリルと歌っていたりして、
 やったわ!涼しい日が来るのね!
 と喜んだのも束の間のことでした……
 まだまだ暑さ&渋滞が続くお盆休みの今日も、
 Twitterコミックは小休止して、
 さあ、↓こちらの御本で読書タイムを、どうぞ~♫
 
  



             ―― 赤い猫 ――



 著者は仁木悦子(にき・えつこ)さん、2018年5月に発行されました。
 『ミステリ短篇傑作選』と副題が付されています。

 前回記事では青池保子さんによる
 “本格ミステリ”コミックを御紹介しましたが、
 はい、今回も小説のミステリ作品ですよ。

 著者・仁木さん(1928~1986)は、
 かの江戸川乱歩さんに
 “日本のクリスティ”と評された作家さんですから――

「おすみつきィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:ハズレなし!)

 この御本のいちばん初めに収録されている
 表題作品であり、
 推理作家協会賞を受賞している仁木さんの代表作
 『赤い猫』は、
 1980年に発表された短編です。

 物語の始まるキッカケは……

 ヒロインさんが失業しちゃったこと、でした。

「あちゃッ!」
「がるっ!」(←訳:やばっ!)

 沼手多佳子(ぬまで・たかこ)さんの勤め先は、
 小さな印刷会社。

 その会社が倒産してしまい、
 必死に次の仕事口を探している多佳子さんですが、
 世の中は不況です。
 両親がなく、
 都内に家もない一人暮らしの若い女性には、
 世間ってヤツは冷たくて……。

「ふァ~…」
「ぐる~…」

 と、そんなところへ。

 或る新聞広告が目に飛び込んできましたよ。

  《話相手の女性求む。住込・年齢30歳まで・高給優遇。》

「ほわァ? はなしィあいてェ??」
「がるるぐるがる!」(←訳:珍しい求人だね!)

 話相手?
 外国の推理小説にはそういう職業のひとも出てくるけれど、
 日本ではあまり聞いたことないわね?
 でも……
 様子を見に行くくらいなら、いいわよね?

 そう考えた多佳子さん、
 面接に出かけていったものの、
 競争率は高そうだ、たぶん駄目ね、と
 諦めていたのに。

「きましたでス! さいようのォ、つうちィ~!」
「ぐっるがぅる!」(←訳:やったじゃん!)

 意外にも採用が決まり、
 多佳子さんは晴れて、
 大林郁(おおばやし・いく)さんの話相手と
 なったのでした。

 以来、多佳子さんは
 車椅子の老婦人・郁さんに付き添い、
 身の周りのさまざまな用事や、
 本の朗読などもつとめ、
 広い御屋敷での生活にも慣れてゆくうち。

 無愛想な郁さんが、
 実は鋭利な知性の持ち主であると分かりました。

「もしかしてッ?」
「がるるるぐるる?」(←訳:車椅子の名探偵?)

 自由には動けぬ身ながら、
 郁さんが解き明かしてゆくのは、
 かつて多佳子さんを見舞った悲劇の謎。

 プロの調査員ではない、
 もちろん公的な捜査をする訳でもない、
 多佳子さんの記憶と
 わずかな証言だけをもとに、
 はたして郁さんは真実に辿り着けるのか――

「むむむッ! なんもんッ!」
「ぐるる!」(←訳:超難関!)

 ミステリ好きさんに激おすすめの
 この表題作品を筆頭に、
 洗練された短篇9作品からなる本文と、
 日下三蔵さんによる解説も必読の一冊、
 活字マニアの皆さま、
 どうかぜひ、一読を♪
 


 
コメント
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