テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《おちび》、世界を渡る ~

2020-03-10 22:08:24 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ていせいィ~なのでスゥ!」
「がるる!ぐるがぅるる?」(←訳:虎です!休館じゃない?)

 こんにちは、ネーさです。
 前回記事でお伝えしました美術館の休館情報ですが、
 ルーヴル美術館は休館ではなく、開館しているようです。
 ただし、大幅な入場制限がかけられており、
 開館時間も変更の可能性あり、とのことですので、
 旅行を予定している御方は、
 ルーヴル美術館やフランス観光局のHPをご参照くださいね。
 さあ、では本日の読書タイムは、
 そのルーヴルがあるパリとも縁深い
 こちらの御本を、どうぞ~!

  



       ―― おちび ――



 著者はエドワード・カーリーさん、
 原著は2018年に、画像の日本語版は2019年11月に発行されました。
 英語原題は『LITTLE』、
 厚さ約3.5㎝にもなるずしりと重い一冊は、
 長大な自伝作品……と見せかけた見事なフィクション作品です。

「ぶたいィはァ、もッちろんッ!」
「ぐるるるる~!」(←訳:おフランス~!)

 おフランス、といっても、
 首都パリではありません。

 パリから離れて、ずんずん離れて、
 アルザス地方の小さな村で。

 1761年、
 《わたし》は生まれました。

「せんななひゃくゥ~ろくじゅゥ~…??」
「がるるるぐる!」(←訳:昔むかしだね!)

 それは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトさんが
 まだチビっ子だったころ。
 マリー・アントワネットさんがシェーンブルン宮殿で
 姉妹たちと仲良く遊んでいたころ。

 小さな小さな《わたし》は、
 生まれはしたものの、
 あんまり小さくて、
 そう長くは生きていられまいと思われたほどでした。

 小さな《わたし》の名は、
 アンネ・マリー・グロショルツ。

 大人になってからは、
 マリーって呼ばれたわ。
 ただのマリーとか、
 ちいさなマリーとか。
 ちびさんマリーとかもね。

「あれッ、まりーちゃんッ?」
「ぐるがるる?」(←訳:どこ行くの?)

 わたしの可愛いおっちびちゃん――
 そう言いながら《わたし》の髪を梳いてくれた母とともに、
 《わたし》は村を出てゆきます。
 1767年の、いつごろかは憶えていないけれど、
 母の手を握って。
 ベルンの町へ向かう馬車に乗って。
 
 やがていつか、
 《マダム・タッソー》という名の、
 蝋人形作家となるために。

「わおおゥ! まりーちゃんがッ??」
「がるる・ぐっるーる?」(←訳:マダム・タッソーに?)

 ええ、もう、
 御本の帯に大書してありますからね、
 ここで明かしてしまいましょう、
 ちいさなマリーちゃんの行く道を。

 お母さんと一緒に村を出たマリーちゃんが知ったのは、
 広く、厳しい世界。
 混沌として、ぎすぎすとしていて、
 或る者は富み栄え、
 或る者は貧しく、
 嵐の予感をはらむ世界。

 そんな世界で、
 おちびのマリーちゃんはどうやって生き、
 蝋人形作りの技術を会得し、
 大嵐が吹き荒れる革命の日々を
 戦い抜いてゆくのか。

「さしえェ、すごいィでス!」
「ぐるるるる!」(←訳:力強いんだ!)

 御本の装画と本文に付されている挿絵は、
 すべて著者・ケアリーさんによるものです。
 この挿絵が、また素晴らしい!
 そしてまた、ケアリーさんの挿絵を
 日本語版書籍の装幀に編み入れた東京創元社装幀室の方々に
 全力で拍手を贈りたい!

 語りと、挿絵と、
 ふたつのチカラで
 私たち読み手を18世紀のフランスへと連れてゆく
 おちびな《わたし》の激動史を、
 全活字マニアの皆さま、
 ぜひぜひ、一読してみてくださいな♪

 
 
コメント
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