テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 静謐の、その奥に ―

2020-03-29 22:24:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 せいいッぱいィのォ、はくしゅゥ~!」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!有難うなのです!)

 こんにちは、ネーさです。
 英国では現在、お医者さん、救急隊員さんや看護師さん、
 研究者さん、技師さんたち医療従事者さんたちに
 感謝と敬意の拍手を送ることが
 定例になっているようです。
 私たちも、日本の、世界の、全医療従事者さんに
 心からの拍手を送りながら、
 さあ、気力を奮い起こして読書タ~イム!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



  ―― ヴィルヘルム・ハマスホイ 沈黙の絵画 ――



 監修は佐藤直樹(さとう・なおき)さん、
 2020年1月に発行されました。
 『Vilhelm Hammershøi The Paintings of Silence』
 と英語題名が付されています。

 2020年1月21日~3月26日は東京都美術館にて、
 4月7日~6月7日は山口県立美術館にて開催される
 『ハマスホイとデンマーク絵画』展にあわせ
 刊行された関連本、なのですが……。

「かなしィでスゥ~…」
「ぐるるがるる~…」(←訳:溜め息だよう~…)

 東京展は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、
 会期半ばで中止となってしまいました。
 なので、実物とお会いすることは出来ぬものの、
 代わりにこうして、
 書物の中でハマスホイさんの作品を
 鑑賞してみましょう♪

 あ、でもね、
 御本の題名に騙されちゃダメですよ。

「えッ? だまされるゥ??」
「がるるるぐる?」(←訳:どういうこと?)

 『沈黙の絵画』――
 と、題名にはあります。

 この、沈黙、とか、
 静謐、静寂、という言葉は、
 ハマスホイさんの作品を形容するに際して、
 英語圏でも日本でもしばしば用いられているものですが。

 本当に、そうなのかしら?

 私ネーさの眼には、むしろ、
 雄弁、饒舌、という言葉の方が
 しっくり来るように映るんです。

「いろあいィ、しぶいィのでス!」
「ぐるるがる!」(←訳:題材も身近!)

 ヴィルヘルム・ハマスホイさん(1864~1916)。

 ハマスホイさんの作品は、
 御本の表紙になっている
 『手紙を読むイーダ』にも見られるように、
 白や灰色を基調とする
 “落ち着いた色合い”が特徴であると申せましょうか。

 しかし、“落ち着いた色合い”の奥に、
 ハマスホイさんは熱い感情と、
 抑えきれない情熱を潜ませています。

 ここは、どこなのか。
 画面の中の、
 横顔の彼女は、
 あるいは、後ろ姿の女性は、
 何をし、何を想っているのか。

 画布に描き取られた”一瞬”が過ぎたとき、
 彼女はどこへ向かうのか。

 前へ? 後ろへ?
 ゆっくり、部屋を出てゆくのか?
 それとも、こちらを振り返り、
 表情をあらわにするのか。
 その顔に浮かんでいるのは、
 幸せな微笑みか、
 重苦しい怒りか、
 ぼんやりした悲しみか……

「そうぞうりょくゥ!」
「がるるるぐるるぅる!」(←訳:ぐんぐん働いちゃう!)

 序章『ハマスホイ――コペンハーゲンのスキャンダル』
 1章『時代のはざまで パリとロンドンに現れたデンマークの異端児』
 2章『メランコリー 誰もいない部屋』
 3章『静かな部屋――沈黙する絵画』

 そして、ハマスホイさんにまつわるコラム、
 ハマス法さんの略年譜、
 コペンハーゲンの地図なども収録されたこの御本は、
 展覧会へ行きそびれてしまった方々はもちろん、
 ハマスホイさんをまだ知らない方々にも
 おすすめですよ。

 《北欧のフェルメール》とも呼ばれる、
 けれどもフェルメールさんとはまた異なる
 唯一無二の画家さんの世界へ、
 皆さま、ぜひ♪ 
 
 
コメント
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