テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ただ 花を探して ~

2020-12-01 23:42:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふゆゥがァ、きましたでス!」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!着込もう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 もう12月!なので、
 ダウンジャケットもブーツも手袋も堂々解禁!でいいわね。
 冷えないようしっかり厚着をしたら、
 さあ、読書タイムですよ♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



      ―― バラの画家 ルドゥテ ――



 著者はシャルル・レジェさん、
 原著は1945年に、
 画像の日本語版は2005年に発行されました。
 仏語原題は『Redouté et son temps』、
 《バラの画家》
 《花の画家》
 として知られる
 ピエール=ジョゼフ・ルドゥテさん(1759~1840)の足跡をたどる
 評伝作品です。

 名前の表記に関しては、
 この御本では『ルドゥテ』となっていますが、
 近年は『ルドゥーテ』とする場合が多いようです。
 
「なんというゥ、しきさいィ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:すべて手彩色!)

 前回記事では、
 軍史に於ける巨人・諸葛孔明さんを描いた
 コミックを御紹介しました。

 ルドゥーテさんもまた、
 絵画史上で特別な位置を占める巨匠の一人です。

「ごせんぞさまはァ~…」
「がるぐっる!」(←訳:騎士だった!)

 先祖には高名な騎士がいた、という一族は、
 ルドゥーテさんの時代には
 画家を生業としていたそうです。

 祖父も、父も、兄も画家。
 ルドゥーテさんも、
 父たちから絵の手ほどきを受け、
 家業の手伝いをして経験を積んだのち、、
 13歳にして”修行“の旅へと出立。

 当初は、とりたてて
 花ばかりを描いていたわけでも
 なかったんですけど……。

「いつのまにかァ~」
「ぐるるがーるる!」(←訳:生涯のテーマに!)

 なぜ、花なのか。
 なぜ、バラなのか。

 その理由を、著者・レジェさんは、
 オランダの画家、ヤン・ファン・ハイムスの花の画に
 ルドゥーテさんが感銘を受けたためと記しています。

 加えて、
 見逃してはならないのは――

 花が、珍しかったから。

「ふァ? めずらしィ??」
「がっるぐるがっるる?」(←訳:花って珍品だったの?)

 21世紀の現在、
 お花屋さんに行きさえすれば、
 ごく容易に、あらゆる種類の花を
 私たちは手に入れることが出来ます。

 バラもユリも、
 蘭もアストロメリアも、
 水仙もアジサイも。

 ルドゥーテさんの時代、
 観賞用の美しい花は
 特別な場所にしかありませんでした。

 王立の植物園や庭園、
 裕福な貴族の邸宅。

 花に、花の画に憧れるルドゥーテさんが、
 フランスへ、パリへ、
 ついには王宮へ出入りするようになったのは
 自然な成り行きだったのでしょう。

「でもォ……!」
「ぐるる!」(←訳:革命が!)

 王宮や王立園に出入りはしていても、
 ルドゥーテさんの立場は
 学者に近いものでした。

 ルドゥーテさんは、
 ナポレオン将軍のエジプト遠征後の
 フランス政府が刊行した書物
 『エジプト誌』の制作に携わっています。

 ええ、フランス革命の荒波を
 ルドゥーテさんは乗り越えました。

 そうして、
 乗り越えた先に待っていたのが、
 ナポレオンの妃である
 ジョゼフィーヌさんとの共同作業。

 ルドゥーテさんは、
 ジョゼフィーヌ妃のマルメゾン館の内装を整える仕事、
 館を飾る絵画を描く仕事を得たのです。

「おうごんじだいィ!」
「がるるぐるる!」(←訳:描こう全てを!)

 この御本には
 ルドゥーテさんが制作した
 ボタニカルアートの傑作108点の図版と、
 いまもなお唯一無二の《バラの画家》と讃えられる
 ルドゥーテさんの歩みが綴られています。

 花図譜好きな活字マニアさん、
 フランス史好きな方々、
 園芸家さんにもおすすめですよ。
 咲き誇るバラの花を
 誰よりも見入り、
 見詰めつづけた画家さんの物語を、
 皆さま、ぜひ♪
 

 
 
コメント
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