テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ いま、美味なる騙りを ~

2021-09-24 23:42:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うれしィ~おひさしぶるいィでス!」
「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!祝再会!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい!
 本日の読書タイムは、
 再会&再開が何より嬉しい作品に
 登場していただきますよ。
 さあ、満を持して、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
 ―― 遠巷説百物語(とおくのこうせつひゃくものがたり) ――



 著者は京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、
 2021年7月に発行されました。
 《巷説百物語》シリーズ11年ぶりの最新作は、
 お江戸の町から、北へ北へ――

 『遠野物語』の舞台として
 活字マニアの皆さまにはお馴染みの、
 遠野地方にやって来ました。

「けッこうゥにぎやかァ、なのでスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:人が多いね!)

 遠野保(とおのほ)の、
 市(いち)が立つ日の賑わいは、
 この地の豊かな経済を示しているのだと、
 大概の者は好ましく思うでしょう。

 けれど、
 人混みが苦手な
 宇夫方祥五郎(うぶかた・しょうごろう)さんが、
 とぼとぼとぼ、と
 浮かぬ顔をして、
 出向いた先は。
 
「じつはァ、こッそりィ~」
「がるるるる!」(←訳:待ち合わせ!)

 身形はちゃあんとお武家さま、
 なんですけれども、
 宇夫方さんの“本職”は
 武士……とはちょっと異なります。

 御譚調係(おんはなししらべがかり)。

 盛岡藩筆頭家老にして、
 遠野南部家の
 当主・南部義晋(なんぶ・よしひろ)さんの
 密命を受け。

 市井のささやかな噂話や、
 さまざまな階層の人々の動向を調べ、
 報告すること。

 それが、宇夫方さんの“本職”なんです。

「なッ、なんだかァ~…」
「ぐるるっるるる!」(←訳:スパイっぽいよ!)

 そうなのよね、
 宇夫方さん、
 南部家中のお侍さんたちから
 監査役ではないかと怪しまれています。

 なので、
 誤解されたり、
 敬遠されたりしながら、
 コツコツと噂話を拾い集めているのですが……

 今日のネタは
 ……座敷童衆(ざしきわらし)?

「でッ、でででッ!」
「がるっ♪」(←訳:出たっ♪)

 いかにも遠野らしい、
 噂話のお題目にはぴったりの、
 座敷童衆の伝説。

 耳をそばだてつつ、
 しかし、
 宇夫方さんは素直に受け止められません。

 南部家のお殿さまも御用達の、
 有名なお菓子屋さん宅から
 座敷童衆が出て行った?

 それは、
 お菓子屋さんの家業が傾く予兆、でしょうか。

 或いは、
 予兆以外の、なにか……?

「ほんきでェ、しらべましょゥ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:座敷童衆の秘密を!)

 ネタバレになってしまうので、
 これ以上のお喋りは出来ません……が、
 騙し、
 操り、
 まるめこみ、
 の《巷説百物語》スピリットは健在です。

 遠野という絶好の舞台を得て、
 いっそう鋭さを増す
 著者・京極さんの語りの美技に、
 《巷説》シリーズファンの方々は
 ぜひ舌鼓を打ってくださいね~♪
 
 

 
 
コメント
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